<ヴィジュアル版> 澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド (集英社新書)
<ヴィジュアル版> 澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド (集英社新書) / 感想・レビュー
匠
大好きな1冊。貝殻、鉱石、ガラス玉、化石や時計、人形や頭蓋骨などなど、澁澤氏が収集したさまざまなオブジェを写真と文章で紹介している。個人的にツボなものだらけなので何度も読み返してしまう。かなり影響されて自分の部屋を渋澤氏の書斎そっくりにしようとしたことがあったけれど、そうなると家の中全体の雰囲気も変えないとバランスがとれず断念してしまった。渋澤氏の作品を読んだことがない人でも、こういったコレクションにもし興味が湧いた人ならきっと、彼の世界観を堪能できるだろうし、そこから知っていくのもアリだと思う。
2013/10/09
ヨコツ
湿った感傷を失い、用途と機能を失い、意味を、記憶を失い、純粋にオブジェクトとしてただそこに在る。人は歳をとれば美しいと感じるものが増えてゆく。それは「もの」の裏に物語を見てしまうからで、「誰それとの想い出の品」だとか「こんな歴史背景がある」だとか、そんなことにも価値を感じるようになるからだ。そんな感傷や背景がによるメッキを排してただその「もの」を見つめる。なるほどそれは少年だけに許される視点なのかもしれない。
2014/02/16
双海(ふたみ)
久々に澁澤の世界へ。学生時代によく読んでいたなぁ。三葉虫、石笛、プラトン立体、子安貝、貞操帯、花札、日時計etc…生前に愛したオブジェを写真とともに紹介。
2022/03/13
ぐうぐう
『書物の宇宙誌』と対を成しているかのような素敵なヴィジュアル新書。ここに収録されている澁澤のエッセイや小説や評論は、すべて目にしたものばかりだが、澁澤邸に遺されたオブジェの写真が添えられると、また違った味わいというか、違った感触として読めてしまうから不思議。玉虫への愛着を記した「玉虫の厨子」というタイトルのエッセイに、澁澤13回忌に飛来した玉虫の写真が添えられていることに象徴されるように、澁澤の作品はこの先、幾度も幾度も輪廻転生していくのだろう。
2010/06/12
志波昌明
澁澤龍彦の部屋を埋め尽くしていたコレクションの写真とそれらにまつわる文章を集めたもの。どのコレクションにも澁澤の愛情が感じられる。高いものや貴重なものより、自分自身で拾ったものや関わりのあったものばかり。写真も美しくてドラコニアの世界がよく伝わってくる。
2017/10/19
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