人生はうしろ向きに (集英社新書)
人生はうしろ向きに (集英社新書) / 感想・レビュー
夜間飛行
「50才を過ぎて未来を考えると不幸になる」と言った人がいる。確かに、だんだん衰えていく将来のことよりも、昔の楽しいことを考える方がマシだ。そういえば最近、私はサヴァランという菓子にハマっている。子供の頃、みんなでケーキを食べた時に人気がなくていつも最後に残っていたヤツ。あれが今となっては無性に恋しく思われるのだ。サヴァランのある店が一つ、また一つと消えていくせいもあるだろう。ああ、サヴァランが喰いたい‥‥このうしろ向きの気持が楽しいのは、子供の頃の無意識の願望を、今になって取り戻そうとしているのだろうか。
2012/10/31
茶山
何もしないで、生涯ただずーっと源氏物語を読んでいただけ、九条稙通のエピソードが笑えます。
2018/07/01
fumi
「すべて良き書物を読むことは、過去の最良の人々と会話をかわすようなものである」と言ったのはデカルトですが、南條氏によると、すべて書物とは彼らが生きた「昨日」の集積である、となりそうです(あくまで私の解釈)。さすが『酒仙』の著者、天晴れ美事な厭世観。人間には過去しかないのだ、過去に生きよう!で一冊書いちゃったのが凄いのですが、それだけならヨタ本で終わる所、古今東西うしろ向き人間録といった趣の蘊蓄が幹となり、まさに会話をかわすに値する素敵な「昨日」なのでした。すべて読みたい本が増える本は良書である。
2013/08/08
卓也
過去をふりかえる時は、もはや打算も欲望も離れたスッキリとした心持ちで、様々な経験を見つめ直すことができる。それはすなわち、人間が「美」に向かう時の態度である。
2019/01/08
ナウラガー_2012
ストア派の哲学者は、歳を取ろうと不運に見舞われようと自分から奪い去られないものは「善」・「徳」であると考えた/”良い一日を過ごせば、翌日には「昨日」という財産が一つ増えている(古代ローマの詩人ホラティウス)”。彼はマエケナス(皇帝アウグストゥスの腹心で”メセナ=文化の保護者”)から庇護を受けた/靖康の変(1126)で、宋は徽宗皇帝の時代に都汴京(現・開封)を金に奪われ北宋は滅亡した。『東京夢華録』は都汴京の市井の事物、年中行事、風俗習慣などを記したもので1187に刊行されると人々は懐しがって愛読した
2018/12/08
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