心の力 (集英社新書)
心の力 (集英社新書) / 感想・レビュー
mitei
その後の話は著者の書いたものなのかわからなかったが、グローバル化する世界への警戒はよくわかった。
2014/03/30
コージー
★★★★★息子さんを失い悲嘆にくれた著者が、「心の実質」を太くしたいという思いから執筆。夏目漱石『こころ』、トーマス・マン『魔の山』、デス・ノベルといわれる2つの小説から、「心の力」のヒントを引き出す。そして本書にて『続・こころ』を著者が創作したところもみどころであろう。現実は目の前のものだけではない。自分の中に選択の幅をもって図太く生きよ。こうしたメッセージが強く心に刻まれた。味わい深い作品であった。【印象的な言葉】先に逝ったかけがえのない人々の記憶が、人生に意味を与える物語の支えになっている。
2018/09/28
Gotoran
グローバル化の急激な波に翻弄され、閉塞感で希望が見出し辛い現代、人々の心は何故病んでいき、苦しみ、遂には自死にいたっれしまうのか?そうならないためにはどうすれば心を太く出来るか。20世紀前半のほぼ同時期に著された漱石の『こころ』とT.マンの『魔の山』を詳細に読み解き・比べながら、考察・論考が進行。読み易く分り易い。また、本論と交互に織り込まれている(前出2作品の続編としての)著者の創作小説『続・こころ』が巧くサポートしている。著者の強い想い(心を太くして生きていこう)が印象深い。
2015/10/01
megumiahuru
漱石の『こころ』とマンの『魔の山』を対比し、「心の力」をつけるとはどういうことかを考察してゆく。自意識に悩む近代人の苦悩を描いた両作。本編では小説仕立てにして、それぞれの主人公を対話させていたりするのだが、姜さんの魅力は、やはり、あの独特の「ポツポツ語り」にあると思っているので、一人称で語ってほしかった気がする。「過去」が私たちの心を強くする。良い師から真実な「イニシエーション(秘儀伝授)」=大切な何かを受け渡された経験はかけがえが無い。私たちの心は、大切な人たちの思い出でできているのだ。
2014/03/10
壱萬参仟縁
先に逝ったかけがえのない人びとの記憶が、人生に意味を与える物語の支えとなっている(8頁)。1月に母を亡くし、あれほど痛い思いをしていたのを家族として見るのは忍びなかった面もあり、なぜあれほどまで苦しまねばならなかったのかと息子としては今でも亡くなって楽になったのかどうか と逡巡しているのが実態。墓の問題もあるし。大学を出たのに、正規の職にありつけず、中高年になるまで非正規雇用を強いられ、その日の糧を得るのに精一杯の人も増えた(16頁)。
2015/07/01
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