安吾のことば 「正直に生き抜く」ためのヒント (集英社新書)
安吾のことば 「正直に生き抜く」ためのヒント (集英社新書) / 感想・レビュー
上品過ぎて僧侶のような寺
坂口安吾名言集。藤沢周編となっているが、後書きを読むと集英社の社員がチョイスしたもののようで、ちょっと微妙なあれなのだが、名言の間に挟まる藤沢周の言葉が安吾の発言と現代をくっつけてくれている。なぜか歴史ものや推理ものからの引用は無い。藤沢周も新潟出身らしいが、新潟って不思議な人が生まれる土地である。上杉謙信、直江兼続、良寛さん、河井継之助、山本五十六、坂口安吾、田中角栄。損ばっかりしているような人達である。話が逸れたが、この本は詩集や歌集のように楽しめる本だが、『不良少年とキリスト』なんかは全部読みたい。
2019/11/18
踊る猫
惨たらしく亡くなった戦死者の遺体を「焼鳥」に喩える男。それが坂口安吾だった。「白痴」でそういう表現が出て来るらしいのだけど、迂闊にも読み飛ばしてしまっていた。これは是非とも安吾を読み返すべきだなと思った次第だった。藤沢周氏の解説文は先輩作家たる安吾をリスペクトしている礼儀正しさを感じさせて好感が持てる一方で、やや遠慮し過ぎという感も抱かなくもない。藤沢氏自身そんなに破天荒な方という印象もないのでまあ仕方がないのかもしれないが……このテの本に求められる水準はクリアしている。優等生が読むべき書物だという感じだ
2017/10/13
抹茶モナカ
坂口安吾の作品の中からの引用に、藤沢周さんの文章が添えられた新書。生きるというのは遊ぶ事だ、というのが心に響いた。際限なく刷新されて行く科学技術のストッパーになるべきなのが教養だ、というのも、東日本大震災を経験した今ではグッと来る。安吾を「兄貴」と慕う藤沢周さんの思い入れも熱い。坂口安吾の著作は読んだ事がなく、無頼派の印象だったけれど、深くいろいろ考えて生きていた作家さんなのだな、と思った。
2016/12/18
ken
安吾の魅力は、人間の真理を言い当てる痛快な言葉そのものだ。戦後間もなく『堕落論』で、虚脱状況にあった人々の魂を奮い立たせた随筆の名手である彼の言葉には生きることを無条件に肯定してくれる豪快な頼もしさがある。本書は、そんな彼のエッセンスを抽出した安吾の入門書だと言えるだろう。理屈を通り越して人間の魂を直接揺さぶる、そんな魅力的な言葉の数々を十分に堪能できる。安吾と同郷の作家、藤沢周の解説も面白い。
2017/01/31
いのふみ
現実主義的であり、凄まじい覚悟。強いことば。確かに言うのも聞くのも難しい。「聞くのも難しい」というのは、首肯しかねるという意味よりも、生半可ではなく、実践できる覚悟があるかということを突き付けられているということだ。
2018/09/27
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