写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩 (集英社新書)
写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩 (集英社新書) / 感想・レビュー
やすらぎ
人工的に通された河川が流れる東京。久しぶりに降り立ったその駅で感じた凪。遥か昔から川はここを流れ、岬の先は海だったのだろう。水流に思い巡らす地形散歩。今歩いてきた緩やかに曲がる道なりは、小川だったのだろうか。武蔵野台地を削り扇状地に現れる急坂や溝。流れゆく水は何処へ。大地の果て、海が削った絶壁の海岸線を歩いてみよう。自然の偉大さを感じられるかもしれない。人は湧き出る流れを止めることはできない。変えることはできるけれど。すべては移りゆくものだから、今見えないものを見ようとするその感性が大切なのかもしれない。
2022/05/13
雲をみるひと
東京の中小河川流域の写真を交えた散策記。着眼点がよく現況の描写関連と河川の来歴関連の記載のバランスもよいので、読みやすいエッセイに仕上がっていると思う。章末のコラムも少しマニアックな記載もあるがアクセントが効いていてよい。
2021/08/26
Tadashi_N
東京は青梅から続く大扇状地を湧水が削ってできている。日暮里崖線。石神井川など。
2022/04/27
niisun
やはり小林紀晴さんは自然史よりも人文史の人かもしれません。この本でも、縄文人の視点で捉えたりしてますが、地形の読み解き方としてはあまり捻りがないような。得意の写真もポートレートの時のような、熱や匂いが伝わって来ないような気がします。ただ、個人的には、本で紹介されている河川や崖線は一通り端から端まで歩いたことがあるので、懐かしく読むことが出来ました。私も30代前半に23区内の主な河川や道路は、写真を撮りながら踏破しているので、定年後に同じ場所を歩いて、東京の今昔を写真とともにまとめたいと密かに考えてます。
2019/03/24
多喜夢
都内の河川をめぐるエッセイ集。よくある町中の坂道もコンクリートに覆われた河川もシノゴの大型フィルムカメラで写すと不思議と心に刺さってきます。善福寺川の地下の露光時間8分間の神殿写真は圧巻。展覧会で眺めたいものです。
2020/11/04
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