悪の脳科学 (集英社新書)
悪の脳科学 (集英社新書) / 感想・レビュー
徒花
まあまあ。名作マンガ『笑ゥせぇるすまん』を題材にして、「騙す」「騙される」人間の心理を脳科学的なアプローチから解説する一冊。けっこうマンガの内容に即しながら丁寧に書かれているので、マンガを読んだことがなくてもけっこう楽しいかもしれない。最後には藤子不二雄A氏との対談もある。個人的には、じつは誰もが「騙される側でいたい」という願望を持ちがちなのではないかというところが興味深い。あとは人間の弱さを認めるところ。
2021/07/20
けんとまん1007
なるほど、人間というものは面白いものだと再認識。強い面もあれば、意外なほど脆い面もある。それが分かっている人が、メタ認知の強い人なのだろう。騙されやすい人と、騙されにくい人との違いになるというのは、納得できる。しかし、凄いのは、それらの点を含めて随分前に、笑うせぇるすまんに仕掛けた藤子不二雄A先生の才能だ。
2020/05/13
gtn
「笑ゥせぇるすまん」「プロゴルファー猿」「まんが道」等、以前から手塚氏や藤本氏よりもデッサン力の劣る安孫子氏の作品に強く惹かれるものがあったが、著者が科学的に証明してくれた。彼の作品には、意志の力や理性では抗えない情動に支配される人間が共通して描かれている。その"弱い人間"に魅了されてきたことを自覚する。
2021/02/06
Carlyuke
「笑うセールスマン」を脳科学で説明した本。藤子Aさんとの対談が巻末に掲載されている。学問の世界では人を騙すような悪の要素のある研究は評価されないと著者が言っている。騙されないように研究するのじゃないかなと思った。ちょうど平和を維持するためには戦争を研究する方がいいと言われるように。若い頃経済学を学ぶのは経済学者に騙されないようにするためって読んだのを思い出すな。藤子不二雄の二人のマンガも気になる。読みながら中公新書かと思ったが集英社だった。喪黒のマンガが中公文庫だから。
2019/11/18
かわうそ
誰もがココロにスキマを持っている。なぜならココロの機能を持つ脳が不完全なものだからです。人間は環境の変化に対応するために不完全な脳を持っているのだそうです。それだったら人間に常に不満があるのも不安があるのもしょうがない。その不安や不満につけ込んだり騙そうとする人間がいる。そして、騙されないために騙す方法を学ぶというのは大いに有益な事だと思います。
2023/07/21
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