おどろきのウクライナ (集英社新書)
おどろきのウクライナ (集英社新書) / 感想・レビュー
たま
アフガニスタン、ウイグルと中国、ウクライナをテーマに、2021年秋から侵攻開始後22年5月までの対談。2人の共著は数冊読み、西洋の歴史と思想、宗教についての知識と認識が確実で安心して読めると思っている。この本は話題が時事問題のためかなり未整理だが熱気はある。ロシアや中国を前にモダニズムの立場を主張する橋爪さんは、リベラル資本主義に与しきれない大澤さんに「西側を味方する以外にないんです。相対主義を気取っている場合じゃあない」と言う。面白い。私たちも立場を明確に意識することが求められていると思う。
2023/03/06
Sam
お馴染みの碩学お2人の対談集。本書もなかなか勉強になる一冊だった。ロシアがウクライナに軍事行動を起こした背景にはロシアの一方的な欧州への憧れがあるという指摘はなるほどと思わされる。また、戦争においては理念的な理由が表明されつつリアルな利害が本当の理由であるというのが通常なのだが今回のウクライナ侵攻においてはそれが逆であるという指摘も興味深い。それにしても本書の真のテーマはウクライナではなくロシアでありアメリカでありさらには中国である。それと表題に「おどろきの」とか「ふしぎな」とか安易に付けないで欲しいな。
2022/12/10
ころこ
第1章がイスラム、第2章が中国、第3、4章がウクライナ問題だ。共通したテーマは民主主義と資本主義。第1章、イスラム圏で資本主義が上手くいかない理由は、法人が成り立たないことにある。ISは宗教的な運動にみえるが、西側への拒否が信仰心に転嫁された世俗的な運動である。など逆説的ではあるが、鋭い指摘に溢れている。対談であるということは、口語体で読み易いということ以上に、弁証法になっているということが重要だ。ある発言があり、相手から別の発言がある。別の発言があった元の発言者は相手の発言よりも更に良いことを言おうとす
2022/11/20
あちゃくん
ウクライナの話というか、現在のウクライナ戦争をきっかけに世界情勢がどう変わるかという話でした。
2022/12/04
ta_chanko
西欧カトリック世界においては古くから政教分離が実現。そのため人々の信仰(精神)も政治権力に従属しない。これに対し東欧正教世界では政教一致のため教会が皇帝権力に従属。したがって人々の信仰(精神)も政治権力に従属せざるを得ない。今回のウクライナ戦争は、大義名分の裏で実利を得るような従来の戦争とは違い、ロシアの存在意義や存亡を賭けた戦い。ロシアは西欧への憧れを持ちながら、その一部(底辺)になることは大国としてのプライドが許さない。自国の一部と思っていたウクライナが西欧側につくことも許さない。
2023/01/17
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