アジアを生きる (集英社新書)
アジアを生きる (集英社新書) / 感想・レビュー
coldsurgeon
著者の思想遍歴を語る書であり、アジアの中で日本という国が抱いてきた国体エゴイズムを知らしめる書でもあった。同時代に生きていた横井小楠と吉田松陰の考え方の相違から、明治維新以降、日本が東アジアに目を向けた姿勢を、明確にあぶりだした点が、とても新鮮だった。普遍性を求めた小楠と、特別な国体を求めた松陰とが、幕末維新期にどちらが影響を残したかが、その後の日本の方向性を決めてしまったのだ。松陰の影響を受けた長州閥の政治家の亡霊が、まだ日本の政界をさ迷っている。悪霊退散と、陰陽師はいないのか。
2023/08/05
ゆうきなかもと
興味のあるところだけつまみ読み。姜尚中先生の自伝的な、あるいは思想史的な不思議な一冊。手のつけやすい政治思想史入門にもなっていると思う。個人的には真面目で真摯な学者研究者だと思っているので、本屋で手にとったのだが、予想よりも面白い。著者本人の実存がまるまる乗っかったような私小説的な雰囲気もある。もう何回か、今度は詳しく読んでいきたい。
2023/05/21
sk
政治学者の自伝的エッセイ。アジアについての複雑な思い。
2024/05/04
れいまん
久しぶりに著者の最新を読んだ。在日である自らのアイディンティティを深く考え、表題の題名になったのだろう。現在のロ.ウ戦争については、大国アメリカが分断を超えて異質なものと共存していくための方策は、排外的なナショナリズムではなく、グローバルな普遍的価値にあるという。ゴルバチョフ、盧泰愚、金大中のように自らが変わり、相手の側に歩み寄ろうとすることはアメリカには無い。グローバルな普遍性は、著者の育った故郷熊本出身の横井小楠に見出したとある。熊本の濟々黌出身の哲学者の結論である。確かに、小楠は吉田松陰とは真逆だ
2023/08/16
mura
我々日本人は、アジア人であることを忘れていることを再認識した。G7サミットが日本広島で行われて浮かれている場合ではない。白人の仲間になったと思っても、普遍的な思想もなく、ましてやキリスト教でもない日本は欧米から見ると異質な国、著者のASEANプラス3でアジア版ユーロみたいなものを作るのは賛成。大日本帝国が滅んだあと、半島や台湾に思想が残らなかったのは天皇崇拝の思想が普遍的ではなかったから。今後普遍的な思想を構築してアジア版ユーロを目指そう。アメリカを入れるかはまた別の話。横井小楠が生きていたらの意見は斬新
2023/07/25
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