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最悪の将軍 (集英社文庫)

最悪の将軍 (集英社文庫)

最悪の将軍 (集英社文庫)

作家
朝井まかて
出版社
集英社
発売日
2019-10-18
ISBN
9784087440348
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最悪の将軍 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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W-G

タイトルと逆説的に、綱吉擁護の内容。実際、なかなかの好人物に描かれている。しかし結果として、綱吉の思惑は、周囲の曲解を生み、混乱を生じさせるだけで、本来の意図した方向に進まなかったのならば、やはり彼は机上の空論だけの、物事を動かす力のないリーダーだったことになる。「我に邪無し」って、それはそうかもしれないけれど…。究極のところ、民衆はそんなこと求めてない。信子との仲睦まじい様子が、より一層、良いとこ生まれの甘ちゃんに見せてしまう。いっそ、本当に人より犬を大事にする、狂った暴君を描いた方が面白かったかも。

2020/10/14

三代目 びあだいまおう

人より犬の命を重んじた『最悪の将軍』徳川綱吉。著者はそのイメージを鮮やかに覆す。前将軍が重篤となり、魑魅魍魎どもの私利と欲とが蠢き合う闘争の中、次期将軍への白羽の矢が立った綱吉。世のため、民のため、文をもって治世せんと誓う姿は私たちのイメージとは真逆。命というものへの分けなき敬意、前例や因習の悪鎖を躊躇なく断ち切る姿勢。為せば成るという絶対地位を、周囲があざとく悪操作。意図せぬ方向へ結果を変えられる。絶対権力者の内に有す悲哀、孤独と苦悩。信子のみが綱吉の美しき想いの理解者だったのか。あまりに哀しい‼️🙇

2020/11/02

mariya926

「言葉こそ美しゅうなくてはならぬ。人は言葉で物事を整え、思量する。言葉が心を作るのだ。常に言葉が糸となって人と人を結び、かかわりを織り成す」江戸時代、命が軽く扱われていた時に『生類を憐れむべし』とした綱吉の深い思いを知りました。「余は命の重さを、この世に取り戻す」しかし全国的に次から次へと起こる災害に苦しめられた綱吉。妻である信子の想いは本当に切なくて、夫婦なのに少しの時間しか共にいることは出来ずに…しかし信子の聡明さに救われました。「我に邪無し」読めて良かったです。2020ナツイチ

2020/12/08

ぶち

表紙に描かれた犬の絵と"最悪の将軍"という題名から、"あぁ、徳川綱吉のことかな"と推測がついてしまいます。でも、描かれているのは"犬将軍""犬公方"という蔑称や忠臣蔵の評定からくる"凡庸な将軍"というイメージを破る綱吉像なのです。"武"から"文"へ、無駄な血を流さずに国を治めることへとシフトさせていった為政者の物語なのです。それは、家族、親類、民、そしてあらゆる生き物に対する愛を持った為政者の苦悩と悲哀の物語です。この物語を読むと、歴史というものはいろんな角度から見ないといけないなぁ、と思うのです。

2020/09/05

のり

「家綱」公の崩御に伴い中継ぎとして将軍になった「綱吉」。徳川の世を磐石とする為に心血を注ぎ、武から文知へと方向を示す。仁政をひき民を思う志は名君とも言えるが…ただ己にも厳しいが、見せしめの改役も…弱みを見せられない立場。それでも御台所の「信子」の存在がどれ程安らぎを与えたか。深い絆で結ばれた夫婦であった。天災や相次ぐ大火事にもあい、行き過ぎた政策もあったが、綱吉公は義にあつい天下人だった。

2020/05/04

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