母のあしおと (集英社文庫)
母のあしおと (集英社文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『上の四人はもう大きいんだけど、いちばん下の道子は離れていて、まだ十歳なの』そんな風に母・節子が語る昭和二十八年の道子。この作品では道子の一生が、2016年から時代を遡る7つの短編によって最後に浮かび上がる物語が描かれていました。一人の女性が、妻、母、娘というそれぞれの役割を演じていく姿が描かれるこの作品。そんな役割の向こうに道子の存在が色濃く浮かび上がるこの作品。一人の女性の人生を時系列遡りで他者視点によって描くという絶妙な構成の妙に、読後、表紙の女性の姿に見る印象が別物に変化した素晴らしい作品でした。
2024/05/26
Ayakankoku
一人の女性の人生を様々な人の視点から遡っていく連作短編集。娘として、妻として、母として、姑として…誰しも色んな顔があるのだなと思う。こうやって、家族というのは、脈々と繋がっていくのだろう。優しく、心に響く作品だった。
2020/05/06
はるごん
1人の女性、道子の一生を亡くなってからと母、娘と語り手が変わる連作短編集。それぞれの語り手からで道子の印象が全く違う。ははぎつねの姑になる道子は嫁の立場からはキツい。私も義実家へ初めて行った時こんな感じだったと懐かしむ。挨拶する隙がなかった。読み進めると道子も姑と合わず大変だったんだと印象がどんどん変わる。素晴らしい作品に出会えました。
2024/08/12
こばゆみ
一人の女性の生涯を、それぞれ異なった視点から遡っていく連作短篇集。最後の話は結末を知っているだけに泣ける…何かあった時に良いことばかり想像するのって難しい…あとは、喧嘩した相手の家に謝りに行く兄弟の章が特に良かったな。
2020/05/16
水さん
自分の母の幼い頃の写真を見ると、秘密を垣間見てしまったような罪悪感があります。
2020/08/22
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