青春のジョーカー (集英社文庫)
青春のジョーカー (集英社文庫) / 感想・レビュー
桜もち 太郎
主人公の基哉は冴えない中学三年生。クラス内のヒエラルキーの底辺に位置し「この世界はクソ」と思っている。「弱者は強者に支配される。強者は弱者を支配できる」、世界はどうしょうもなく二層に分かれている。スクールカースト、基哉の取り巻く環境は性が飛び交いセックスがジョーカーになって、その経験が切り札となり、順位付けが決まる。自身は毎日自慰行為に励み、贖罪の気持ちを持っている。そんな基哉がセックスに翻弄されることは、憐れだと基哉は気が付く。兄をきっかけに知り合った年上の女性二葉の影響が大きいのだろう。→
2022/12/01
よっち
スクールカースト最底辺に所属し、上位女子グループの咲が気になっていた中三の基哉。閉塞感の漂う毎日を送っていた彼が、兄を通じて知り合った年上の二葉との出会いからジョーカーを得て少しずつ変わってゆく青春小説。いじられる存在で好きな子との会話すらままならない基哉の窮屈な生活と、ちょっとしたことで景色が全く違って見えたり、些細な噂で置かれる状況が一変することへの戸惑い。狭い世界の中での優越感やつまらない意地で失って大切な存在を自覚したり、甘酸っぱくほろ苦い青春と不器用な彼らの成長にはぐっと来るものがありました。
2020/12/18
波多野七月
世界は、二層に分かれている。教室の中心で笑いころげているグループと、教室の片隅で息をひそめているような人種だ。これは後者のポジションにいる、中学三年生の基哉という少年の物語だ。だがこの小説は、苦さだけでは決して終わらない。きっと誰もが制服のあの頃を思い出し、そして語りたくなるだろう。これは、自分自身の物語を「語らずにはいられない」作品なのだ。息苦しさのその先で、ラストの爽快さが心地いい風となって通りすぎていく瞬間と、どうか出会ってほしい。
2021/07/03
ヨータン
あまり爽やかでない青春小説でした。でもこういう不器用な青春の方が嘘っぽくなくて、現実に近いのかも。ちょっとしたことでスクールカーストの上に行ったり、下がったりってストレスたまるよね。
2024/06/19
tommy
クラスの隅で冴えない日々を送る中学三年生の基哉。想いを寄せるクラスメイトの咲を想像して自慰行為をしては、贖罪の気持ちでゲームのモンスターを一匹ずつ逃がしている。ある日、大学デビューを果たした兄にサークル主催のBBQに誘われ、そこでAV出演経験のある女子大生と出逢う。
2023/02/07
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