沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち (集英社文庫)
沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち (集英社文庫) / 感想・レビュー
ゆいまある
兎に角書き遺しておこう、後に資料となるものを。という気迫が伝わる頁数。長い。戦時中、日本の捨て石にされた沖縄。米兵のレイプから人々を守るために作られた売春地帯。総てを失った人が、生きる為に身を売る。浄化の名の元に街が潰される。今は知的に低く貧しい人が、ヤクザに騙され沈められる街(いつでもどこでも繰り返される物語)。更に見捨てられた奄美、宮古の人々。売春を失くせと声高に叫ぶ人よ、踏みつけられた人々の声を聞いたか?利用され、傷つけられ、それでも生き伸びようとする声を聞いたか?汚い仕事なんてこの世にはない。
2023/09/20
たまきら
コザ出身の友人が「また日本人に沖縄がレイプされた」とすごく怒っていた本を、手に取りました。私個人は彼に見下した感情はないんだと思う。けれども彼女がそう感じてしまうのは実名を使ったビビッドなレイプ犯罪の記述かもしれないし、買う側に位置した男の自己正当化のような表現を感じるからかもしれない。日本人が書いているからかもしれない。今も続く不公平な現実が生むもので、作者とは無関係かもしれない。知ってほしい。けれどもこんな風に書いてほしくないということなのかもしれない。来月彼女が来たら話そう…。自分の中でも未解決。
2023/11/17
巨峰
重い本だけど、沖縄の歴史やそこで暮してきた人を知るには、欠かせない一冊かも知れない
2023/08/12
二人娘の父
文庫化にあたり新たに一章が追補された。これにより当時の米国民政府の政策的意図がより鮮明になっている。初読の際もかなり衝撃を受けたが、再読した今回も新鮮にまた読み飛ばしていた事実など改めて認識することができたことは収穫だった。著者の粘り強い取材と揺るがないヤマト人としての視点に、大いに学びたい。本書で明らかにされる事実は、沖縄県民でも知らない人が多数であろう。いわんやヤマト人は、である。歴史の中で決して忘却してはいけない事実を記録することの意味をかみしめたい。次に渡沖した際には真栄原地域はぜひ歩いてみたい。
2022/01/28
Katsuto Yoshinaga
2010年、浄化運動により沖縄の売春街が消滅した。そもそも街は何故あったのか、どんな形態の街だったのか、どのような生があったのか、ヤクザから警察まで丹念なインタビューに基づいた力作。反対運動の女性団体に嫌な感じを抱く従事者の声、浄化運動を進める政財界御用達の老舗料亭「料亭那覇」の売春事件、反米団体と基地収入に頼る住民の相克といったようなジレンマが随所に描かれ、解答なき課題を突き付けられる。本書の中でドキュメンタリー映画「モトシンカカランヌー」が紹介されている。このタイトルが解答へのひとつの糸口なのか。
2022/04/02
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