本と鍵の季節 (集英社文庫)
本と鍵の季節 (集英社文庫) / 感想・レビュー
パトラッシュ
日常の謎を扱うミステリは、素人が知的好奇心を満たす趣向の短編が多い。このため独自性を出そうと設定に凝って読みにくくなる例も散見されるが、この手の作品の名人の手にかかると見事に料理されてくる。偶然持ち込まれた不可解な出来事を鮮やかに解決していく次郎と詩門の図書委員コンビだが、やはり高2生には人の心の闇を垣間見る経験は辛かった。出だしはミルクチョコレートに似た風味だったのが進むにつれてカカオの含有量が増え、最終話では9割近いビターさに達する。少しずつ人生の苦さを知る少年の成長を味わう物語が見事に成立している。
2023/03/10
NADIA
進学校である公立高校に通う「僕」こと堀川は、背も高く顔もいい目立つ存在である松倉と同じ図書委員を務めることで親しくなった。以前、先輩から出題された暗号解読に松倉が正解したことがあり、ちょっとした謎が持ち込まれるように。図書委員コンビが謎を解決するスタイルの連作短編集だが、学園ものとしては内容は少し重い。それでもテンポがいいのでサクサクと読み進めることができる。終盤にいつの間にか探偵役が変わっている所がとても新鮮で面白い。
2021/07/14
エドワード
高校二年生で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門が解決する様々な謎。同級生の家の金庫のダイヤル。美容院のロッカー。細部にわたって張り巡らされた<鍵>が痛快だ。舞台となる図書室。紙の匂いが懐かしい。米澤穂信さんの分身のような二人から、本への限りない愛情が伝わってくる。二人の間に流れる絶妙なバディ感と沁みる友情も高校生ならではの爽やかさ。最終話は家族のことを語らない松倉の意外な生い立ち。人間、表面だけではわからないことがある。松倉の親父の言葉「やばいときこそ、いいシャツを着るんだ。わかるか?」が印象に残る。
2021/07/04
ナミのママ
高校2年生の堀川次郎と松倉詩門、ともに図書委員。この学校の図書室は賑わっていない。ひまな2人があれこれと日常の謎解きに挑む連作6篇。主人公2人、特に松倉詩門の私生活は語られないなと思っていたら…。青春ミステリを読むと自分の同年代を振り返ってしまう。時には本から目を離して過去の世界を振り返る。この本はミステリで楽しみ、図書館と書籍話題で楽しみ、思い出を楽しみ。そんなゆったりとした時間をもう一度過ごせた。続編が出たので文庫再読。
2022/11/20
優輝
初読みの作家さんだったけど面白かった 読みやすく伏線もわかりやすい初心者向けでした 主人公堀川と相棒?の松倉のちょっと斜に構えてて小気味よい掛け合いと謎解きが楽しかったです 続編も制作予定との事で楽しみです 米澤先生の他の人気シリーズも時間作って読んでみたいと思います( ˙꒳˙ )ゞ
2021/07/19
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