喉の奥なら傷ついてもばれない (集英社文庫)
喉の奥なら傷ついてもばれない (集英社文庫) / 感想・レビュー
やいっち
全く未知の作家で、ほとんど題名に惹かれて手にした。「人妻たちが抱える欠落と渇望を描く6編」だとか。本短編集については、解説の村山由香がいい。この作家さんも好きで何冊か読んだことがある。彼女は、収められた六篇はいずれも、いびつな愛しか知ることのできなかった女たちの物語だ」とした上で、「ぜひとも不用意に読み始めてほしい、そうして茫然と立ちすくんでほしい」と解説の冒頭で書いている。
2022/01/14
じいじ
『白蝶花』でのインパクトが、いまだに抜けない宮木あや子の7作目。さすが宮木さん、ぴりりとサビが効いて巧いな、と思った。村山由佳が「いびつな愛しか知ることができなかった女たちの物語だ」と表しているが、言い得て妙である。6短篇いずれも優劣つけ難く面白かった。【金色】この主人公の「女の強かさ」は並外れている。著者は男の身勝手を容赦なく突いてきます。私的には【天国の鬼】が印象的だった。母子二代にわたっての子供虐待の話は、少々辛く苦手なのだが、文章力で引き込まれた。
2022/04/04
アッシュ姉
「愛情と呼ばれる檻につながれている人へ」というページからはじまる短篇集。偏愛、執着、盲信に囚われた人たちを艶やかに艶かしく、ときに醜く恐ろしく、流麗で濃密な文章で容赦なく突きつける。息苦しさに苛まれながらも目を逸らすことができない。自分は当人でないことを言い聞かせねば安堵できないほど迫りくるものがあった。久しぶりに宮木さんの世界をじっくりと堪能。作品の雰囲気にぴったりの装丁と挿し絵も素敵だった。
2023/05/22
もぐたん
壊れた人妻たちの正しい日常を描いた短編集。特に最後の話は強烈。インパクトがあった。そしてどの主人公にも孤独の匂いがプンプンした。ともすれば仲間入りしそうな恐怖を味わう。相容れない世界観をともに過ごすことで、世の中に実際必ずあるであろう妻の毒を堪能できる一冊。★★★☆☆
2023/07/31
misa*
書店で見つけて気になって手に取った作品。宮木さん久しぶりに読んだけれど、やっぱり面白い!子供に対しての暴力は心が痛くなるばかりでしんどかったなぁ。「ろくでなし」は、純愛?って感じで短篇の中では一番好き。「指と首、隠れたところ」も好みの作品だった。
2021/12/16
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