抵抗都市 (集英社文庫)
抵抗都市 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ケイ
フィリップ・K・ディックの「高い城の男」的な設定。佐々木譲さんの北海道警シリーズファンだったが、こちらもシリーズ化されるのかしら。占領下の日本という状態が気にはなるし、ウクライナの状況を考えれば冗談じゃないが、警官物としては秀逸。余談:数年前に訪れた敦賀の港に近い洋食屋さんの入口にあった注意書きがキリル文字だった。この作品でも敦賀港が出てくるあたりに想像力もふくらんだ
2023/08/03
キムチ
執筆は1年半余前❓何故にこのテーマと。実際にあった大津事件を冒頭に置き、日露緊張の様を想起させる。歴史改変とは言え、対米の学生蜂起をモデルにおき SFの形をとり 筆者が語りたかったものは何だろう。実際、世界経済、核を巡っての思惑で世界の力学地図改変が語られる現状を思うと警察小説の形をとりのストーリーは生ぬるいと言えなくもないが。統監府保安課、対露勢力の暗躍、そして新堂自身が受ける襲撃・・些か状況粗すぎといえなくもない?。コルネーエフ大尉の人物像も掴みがたく模糊。この舞台の僅か20年余前にはちょんまげだった
2022/03/09
楽
19年。直木賞作家で著名な作品もあるが本書が初読み。21年に買って積んでいたものを、ロシアのウクライナ侵攻を見て急ぎ読むことにしたが、正直それほど面白くなかった。日露戦争で日本が敗北した歴史改変小説なのだが(シミュレーションではなかった)、警察、陸軍、ロシア統監府、どれも一枚岩ではない組織の内輪揉めで、警察、公安、内調などが争う現代ものと舞台が変わっただけ。展開もあまり盛り上がらず、何が「抵抗都市」なのかもよくわからず。冒頭の大津事件の描写は何だったのだろう。頻出する「~だが。」と街並みの描写が気になった
2022/04/19
たーさん
安定した面白さの佐々木さんが描く警察小説。本部の若い刑事と所轄のベテラン刑事が河川で発見された殺人事件を追う警察小説では極々普通の設定なんだけれども時代設定が大正時代で日露戦争でロシアに負けた日本というSF設定の歴史改変警察小説。二人の刑事、本部刑事課の特務巡査の新堂裕作と西神田署の和多田巡査部長は今までの佐々木警察小説の刑事さん達の造形のが散りばめられた感じ。話も2日間の話で「代官山コールドケース」や「犬の掟」と同じ短い時間で捜査に緊迫感を与えます。捜査小説からテロを阻止する冒険小説に移り変わる→
2022/03/03
緋莢
日露戦争に負け、ロシアが日本を統治する大正時代。東京で身元不明の変死体が発見される。反体制運動を取り締まる警視総監直属の高等警察である官房室と、反ロシア活動の情報収集と摘発を任務とする総監府保安課の介入を訝しく思いながらも、警視庁刑事課の特務巡査・新堂と、西神田署の巡査部長・多和田は捜査を進めていくが…日露戦争に敗戦し、ロシアが統治する東京という改変歴史ものに警察小説をプラスしたというところに興味を惹かれて、手に取りました(続く
2022/04/09
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