介護のうしろから「がん」が来た! (集英社文庫)
介護のうしろから「がん」が来た! (集英社文庫) / 感想・レビュー
Kei
父親の介護中に、超初期ではありながら、2箇所のガンを経験した身です。篠田作品全読破中ですが、身につまされるだろうと、読む気にはなりませんでした。が、年月とはそういうもの。父も見送り、自身の検診も何もないので、手にとってしまいました。実にリアル。女性にとっての乳ガンは、えも言われぬものですが、問題提起に解決模索、実行、と公務員体質と自身仰っており、粛々と進み、驚嘆するばかりです。が、認知症の母親はそうはいきません。著者の果てしない労力には、暗澹たる気持ちと社会に対する怒りが湧きます。最中での執筆に拍手です。
2024/06/07
のぶ
篠田さんが90歳代半ばのお母様の介護に明け暮れている時に、本人自身に乳がんが見つかった体験を綴ったエッセイ集。介護、病気共に大変な事であるが、本書では前半部に自身の闘病記、後半に介護の実態と現在日本が抱えている実状が収められている。闘病記と言っても、文章自体はユーモラスに描かれており、第三者の自分から見れば深刻さは薄いが、実際は大変なのだろうと想像する。全体を読み通して、篠田さんは本当に強い人だと感心する。加えて、執筆から校正等の仕事を、これらの事情を抱えながら続けているバイタリティーに驚いた。
2022/02/09
akiᵕ̈
著者の作品は2冊読了していて積本も数冊ある内の1冊が、まさかのご自身の治療中に賞をおとりになれていたことを知る。「介護」「がん」と聞けば、それとどう向き合って生活していったら良いのかを考えさせられる中、来るなら来てみろな強さ前向きさがあり、心強い人生の先輩や現役医師である作家仲間にも相談しつつ、ユーモラスに対処してきている著者から悲壮感は全く感じられなかった。家族や親類など、身近な人たちとのコミュニケーションもキチンととれてきているのが窺えるし、これぞ1人で抱え込まず自分を楽にする見本ではないか。
2023/06/08
kayo
若い頃『女たちのジハード』を読んで以来、篠田さんは私にとっておっかない人です。そのおっかない人がかなりキツめの認知症のお母様の介護と、ご自身の乳がんというダブルのおっかない事態を抱えた日々をクッキリパッキリした筆致とユーモアを加えてお書きになっています。ご苦労を背負った先人の言葉は介護施設や病院選びにしろ、手術後の下着選びにしろ、もうそれはそれは為になるエピソード満載で、さすが作家さんの取材姿勢や探究心はどこにも宿るのだなと感心しました。篠田さんの怯まず、怪しき弱きものをはね返すようなバイタリティに万歳!
2022/03/14
あつこんぐ
実際にはやり切れないこともあっただろうけど、そんなことはおくびにも出さず「なったものは仕方ない」と迎え撃つ著者。闘病生活が楽しそうにさえ感じました。実母の施設選びで『私が見学してここなら居心地良さそうだ、と思ったところ、自分が将来入ることになったらここだ、と思えるところが本人にとって居心地が良いとは限らない』という言葉が印象的でした。しかし、経済的な理由や他に空きがないからそこに入るしかないという方を沢山見てきている身としては最後は運とお金だなと思っています。やはりピンピンコロリが1番ですね。
2022/04/24
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