金木犀とメテオラ (集英社文庫)
金木犀とメテオラ (集英社文庫) / 感想・レビュー
さてさて
それぞれの想いの先に、新設の『中高一貫の女子校』での日々を送る宮田と奥沢。この作品では、”学園もの”ならではの魅力たっぷりの物語の中に『東大一直線ツートップ』として意識し合う二人の青春の光と影が鮮やかに描かれていました。安壇美緒さんらしく、登場人物たちのリアルな会話の場面が多数登場するこの作品。舞台となる北海道の魅力満載に描かれてもいくこの作品。それぞれが抱える悩み、苦しみに真正面から向き合う宮田と奥沢。そんな二人の細やかな心の動きの描写の先に、青春物語らしい十代の少女たちの輝きを見た、そんな作品でした。
2023/02/01
みっちゃん
表紙のイメージから、多感な時期の少女達のアオハル的な話かと思ったが…主人公の2人の少女が背負わされているものが重すぎる。無責任で愛情のない親のせいで置かれている過酷な状況から逃れる為、それだけが人生の目標のようになってしまっていて、お互いを羨みながら、努力して、また努力して競い合ってどんどん自らを追い詰めていくだけ、なのが痛々しくて堪らない。が、きっとあの合唱コンクールの出来事をきっかけに、2人は絆を深め、お互いの存在を支えに、これから自分が歩んでいく道を選び取っていくのだろう。そう信じられるラストだ。
2022/05/08
シナモン
北海道に新設された中高一貫校を舞台に一期生として入学した少女たちの日々を描く。東京から来た宮田佳乃と地元出身の奥沢叶。コンプレックス、嫉妬、敵対心、葛藤…思春期特有の不安定な心理描写が痛々しいほどだった。物語は緊張感で張りつめるこの二人を軸に進むけど、彼女たちをとりまく友人たちとの学校生活はキラキラと楽しそう。でも決して明るさだけではなくて。物語がまとう空気感みたいなものが「ラブカは静かに弓を持つ」と似てるような気がして…。安壇美緒さん、好きだな。追いかけたい作家さんです。
2023/06/04
みかん🍊
北海道の新設中高一貫校の1期生二人のスパースター少女を中心に描かれた青春小説、面白かった、ツートップ成績の一人宮田はピアニストを目指し東京の進学校へ行くはずが母を亡くし父親の一存で入れられ不満を持っていた、一方奥沢は容姿端麗でお嬢様然としているが母子家庭で母の愛人の財力に頼っていることに嫌悪を覚えていた、完璧で有ろうとする二人だが恵まれているように見え孤独で辛く怖くてコンプレックスや不安を抱えた少女達、咲かないはずの地で咲く金木犀の様に強くこれからはどこへでも行ける。
2023/08/10
ぶち
(本編は単行本で読みました。文庫本ではスピンオフの短編を読みました。) 脇役たちも魅力的で、そんな脇役たちにとって築山学園とはどんな学園だったのか、主役の二人とどんな気持ちで接してきたのか、たいへん興味がありました。宮田佳乃と親友のように付き合ってきた森みなみの視点からの短編は嬉しかったのですが、入学したばかりの中学一年のときの話で、宮田とのことよりも小学生時代の友人(今は他の中学)との絡みの方が多く、ちょっと残念。宮田と気まずくなった時やその後の合唱コンクールの後の感情などもっと読みたかったです。
2023/09/17
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