琉球建国記 (集英社文庫)
琉球建国記 (集英社文庫) / 感想・レビュー
活字の旅遊人
馴染みのない登場人物たちの武術的やりとりで始まる。なかなか読みにくいと思っていたが、そんなことはなく中盤以降は快調に読み進めた。琉球内部の統一過程を描いた話だが、負ける側が主役ということは分かっている上で、どう決着をつけるのかを楽しみながら最後まで走る。海の向こうに思いを寄せるシーンが数か所あるのだが、貿易面をもう少し詳しく書いてあればもっと楽しめたかな、と思う。かつて、勝連城も中城も見学したことがあるのだけど、これを読んだ今行くとかなりマニアックに探求しそうだ。というか、行きたいな。伊平屋島も含めて。
2023/03/29
piro
タイトルに建国記とありますが、建国後の不安定な琉球を、主に勝連の按司側から描いた乱世の物語。史実を基にした清々しい漢たちの戦いの話でした。加那(阿麻和利)を主人とした勝連の男たち、建国の英雄である中城の真牛(護佐丸)、そして首里の王と言う三極の関わり、パワーバランスが興味深く描かれ、いかにも戦乱ものらしい面白さ。そして終盤の緊迫感溢れる戦いの場面は、結末が想像できていてもグッと引き込まれました。個人的な好みとしては護佐丸の清廉さに惹かれます。若干リアリティには欠けるものの疾走感に満ちた熱い物語でした。
2022/09/23
kawa
15世紀の琉球王国・勝連半島の勝連城主・阿麻和利(あまわり)を主人公とする戦国物語。彼について王国正史では反体制の悪逆者と記録されているが、近年地元のうるま市では、地方の悪政を打倒し善政を行った名君と再評価され、地元の中高生によって現代版組踊「肝高(きむたか)の阿麻和利」として上演、地元の英雄として人気が高まっている。本書もほぼその内容に沿ったものと思われるが、勝者が作る歴史との落差の大きさが実感でき興味深く読了。読書中に勝連城址と付属資料館の「あまわりパーク」を訪ねられたことも内容もタイミングもグッド。
2024/03/25
rosetta
★★★☆☆タイトルからてっきり琉球の三国時代の統一の話かと思ったら第一尚氏王朝、15世紀末が舞台だった。実質僅か二世代で終わってしまった王朝の五代目金福王の死後起こった甥と叔父による争い、その争いの勝者は何方にも与しなかった末弟の尚泰久だった。一方勝連では好漢達に担がれた加那が暴虐の按司を倒す。国の行く末を見つめる視界の違いや英雄に対するコンプレックスから有力な按司を倒していく金丸の邪智。史実を曲げる訳には行かないけれどこいつが時代の勝者になっちまうのかよ。Wikipediaと首っ引き(笑)
2022/07/27
やっちゃん
琉球王国の内戦がヤクザの抗争のように描かれている。これは自分好みで大当たりだった。史実なのでバッドエンドはやむなしでも終盤の展開は一方的すぎて少し不満。もっと見せ場つくってよー。むかし勝連城から見た海は綺麗だったなあ。
2023/05/19
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