みちづれの猫 (集英社文庫)
みちづれの猫 (集英社文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『猫の匂いにはきっと魔力がある。身体の奥底の強張りがゆるゆる解けてゆくようだった』。さまざまな形で『猫』が必ず登場する7つの短編が収録されたこの作品。そこには、『猫』と共にある暮らしがさまざまな視点から描かれていました。『猫』の飼育経験のない私にもそんな『猫』との暮らしの魅力が存分に伝わってくるこの作品。『猫』という生き物に対する見方が変化もしていくこの作品。『猫好き』な方には必読と言い切って良い、『猫』に始まり『猫』に終わる、もう全編が『猫』一色に彩られた、それでいて読み応え抜群な素晴らしい作品でした。
2024/07/11
ふう
ままならないことの多い人の世。確かなものがあったはずなのに、いつの間にか大切なものを見失っていく…。そんな人々と、そっと、ときには気ままに寄り添ってくれる猫たちとの7話の物語です。猫好きとして共感できる部分も多く、猫を愛おしんでくれるというだけで温かい気持ちになれる作品でした。とくに好きなのは、亡くなった元恋人の猫を引き取る女性の話と、何匹もの猫を飼って見送り、最期にその猫たちのもとへと橋を渡る女性の話。その女性が語る「猫好きはすべての猫を好きになる。~略~すべてが愛おしく、すべてに心踊る。」本当にそう。
2023/04/30
そら
同郷の唯川恵さんの小説を久しぶりに手に取る。一話目は東京で暮らす女性が飼い猫の危篤を聞き、金沢の実家へ向かう描写から始まる。日々の暮らしに追われ故郷から足が遠退いてしまうことはよくあることだ。20歳の猫は家族同然で姉弟が集まるきっかけとなり優しく旅立っていく。七つの物語は喪失感を抱えた女性たちに寄り添う猫たちの物語でもある。別れや過去の後悔、未来への不安。どんな時も寄り添ってくれる小さな鼓動や体温があったからこそ明日を迎えようと思えたのだろう。去りゆくものと今生きるもの。終わることは始まることなのだ。
2022/11/13
アクビちゃん@新潮部😻
【にゃんのまつり2024・2023ナツイチ】単行本で読んでいたので再読。7つの短編すべてが、本当に良い❣ 再読なのに、何度も何度も涙腺崩壊😭 読み終えた後、温かい気持ちになり、猫はもちろん、生きるもの全てに愛を捧げたくなります💓 そして、猫を愛おしく感じる自分を誇らしく思います。猫好きな人は、必読です❣ そして、猫は苦手という人こそ必読です😁
2024/02/22
愛玉子
【にゃんこまつり2023】猫が道連れとなって気紛れに寄り添ってくれたなら、それだけで幸せな人生なのかもしれない。生きていれば蹲ってしまう朝も、心が砕けそうな夜もある。愛しい人との別離、親や自身の老い、生きているだけで色々なものを失っていく、努力ではどうにもならないことだってある、そんな時に柔らかな温もりが傍にいてくれる、ただそれだけで。心が弱った人に寄り添う猫の話『運河沿いの使わしめ』がとても好き。『約束の橋』の「猫好きは、すべての猫を好きになる」は猫好きの真理。どうか全ての猫がヌクヌクと過ごせますよう。
2023/02/19
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