万波を翔る (集英社文庫)
万波を翔る (集英社文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
木内さんの日経新聞に連載されていた小説です。連載の時は読んでいなかったのですが、やはり読み通すとかなりこの主人公やそれを取り巻く人々、幕末からその後の時代の日本の外交についての楽しい読み物になっています。江戸時代末期の初期の外交を担った人々のそれぞれの性格(主人公の上司の水野、岩瀬、井上、勝)が様々でまとめていくのも大変であったようです。安政の大獄や薩長の邪魔などが淡々と描かれていて、主人公が新政府の役につくところで終わっています。実在の人物だそうですがまるっきり知りませんでした。
2024/01/13
piro
開国に揺れる幕末、外国方として登用された田辺太一の半生を描く物語。歴史上の脇役である一役人を主人公に、そして勝麟太郎(海舟)ら主役級を脇役に配した、ある意味豪華な歴史小説でした。長く、濃密なお話で読了に時間がかかってしまいましたが、次第に傾いでいく幕府にありながら、必死に国家のアイデンティティを護ろうと奮闘する太一の姿に心揺さぶられます。偏屈者の上司・水野筑後守忠徳とのやり取りは、時に微笑を誘いつつ、真理が散りばめられている様な会話で実に興味深い。幕末の新たな一面を見る事ができた気がします。
2023/06/29
カノープス
木内昇は三代目古今亭志ん朝である。【どれだけヒドイ落語を聴こうが、「大丈夫、志ん朝がいる」と思える】と語った人がいた。木内昇は、まさにそのような存在である。世の中に稚拙な小説が溢れても、木内昇が小説を書く限り私は希望を失わない。それほどの絶大な信頼を寄せている。幕臣・田辺を通して写す幕末の内憂外患。誰もやったことの無い外交という仕事の困難とどんな仕事にも通ずる金言が散りばめられている。田辺の己の心棒を探す旅であり、日本の外交にどんな心棒はあったのかを問う長編。その問いは令和の日本外交にも鋭く刺さる。
2023/09/10
k
面白かった。良い主人公を選んだものだ。
2023/05/21
Ryosuke Sekimori
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
2022/12/30
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