短編宝箱 (集英社文庫)
短編宝箱 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ショースケ
「小説すばる」から厳選された豪華な作者たちの短編集。桜木さん以外のは初めて読んだものばかりだった。いろんな世界がありとても楽しめた!中でも奥田英朗氏の『正雄の秋』上に調子のいい同期が自分を置いて出世した。東南アジア市場開拓を成し遂げた自負があるだけに、心の動揺を描いた会社の人間模様が心に残った。島本理生氏の『足跡』普通の主婦の心の隙間と幸せを願う複雑な気持ちを不思議な世界観で描く。米澤氏のお馴染み松倉詩門と堀川次郎も美容院にて登場!朝井氏の女子高生の先生への真っ直ぐな気持ちにキュンときた。
2022/12/06
ノンケ女医長
気分を落ち着かせてくれる短編集。好きな作家も多く、ぐっと踏み込んでゆく筆力に、呻りながら作品世界を味あわせてもらった。東野圭吾作品、群を抜いて素晴らしかった。初めましての、島本理生さん。「足跡」にとても魅了された。治療院を営む、真白健二という男性。何度かの治療を経て、最後に「ああ、この人は壊れてる」と思う既婚女性もいるようだが、私はそう感じなかった。深い悩みを抱えた女性と接する上で、きちんと境界線を引くことは、当然。その距離が分からない千尋こそ、問題。ああ、私は、真白に今すぐ会いに行きたい。
2023/10/22
mike
とっても贅沢な本。今をときめく錚々たる11名の作家の夢の饗宴。既に刊行された作品なので「ん?これはもしや。あ〜やっぱり読んだ事があったんだ」なんてのもある。なのに私の脳は「初めまして」と受け入れる。覚えの悪い頭もこういう時には役立つもんだ。道尾秀介「きえない花の声」西條奈加「閨仏」朝井リョウ「エンドロールが始まる」が特に気に入った。
2023/10/14
チーママ
まさに宝箱。誰もが知るゴージャスな作家たちの選りすぐりの作品を集めた贅沢な短編集。再読作品が半分くらいあったが、かなり前に読んでいたため内容をすっかり忘れていたものもあった。奥田英朗の「正雄の秋」がそれ。同期との長年の出世競争に敗れた53歳の男の絶望感とそれからが鮮やかに描かれ胸を打つ。もう一つも既読作だが、西條奈加さんの「閨仏(ねやぼとけ)」が、何度読んでも良い。おたふくのような顔のため数奇な運命を辿ることになった女が、自らの力で運命を切り開いていく姿が頼もしく、ラストの彼女らしい人生の選択に泣けた。
2024/02/10
やっちゃん
ほぼ既読だったけど二回目と分かってても敢えて再読したくなるほどハズレのないメンツ。どれもいいけど「もしや貴様、童貞か」の浅田次郎が初読みで泣けた。「宝箱」がなんの括りなのかよく分からず統一感はなかったけどね。
2023/12/15
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