短編旅館 (集英社文庫)
短編旅館 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ちょろこ
楽しめた一冊。5人の作家さんが紡ぐ旅館を舞台にした物語。初読み作家さんとの出会いを含めて、じんわり5つの湯巡りを楽しめた。東北の温泉旅館で母の代わりに急遽女将となった主人公のおもてなしへの心意気と奮闘、伊勢の旅館から母に届いた絵葉書。なんだか旅館ってもてなす側、される側との距離感が近い気がした。そこに家族というテーマが絡んだら尚更かも。旅館が今を癒し先行きを見守ってくれるようで、どれも柔らかな気分に包まれた。京都と不思議が楽しい「ヨイハナビ」とコメディのような父と息子にやられた「父さんの春」がお気に入り。
2024/03/04
Kanonlicht
旅館にまつわる5つの短編を集めたアンソロジー。短編〇〇シリーズには珍しく売れっ子作家のいない(失礼!)フレッシュな顔ぶれで、これはこれで掘り出し物感があって楽しめた。なかでも唯一読んだことがある阿部暁子の「花明かりの宿」は、この短い物語のなかによくぞここまで設定を盛りこんだなってぐらい完成度が高かった。登場人物のキャラも立っていて、この設定を舞台にして1冊書いてくれたらぜひ読みたい。亡き母の秘められた過去をたどる「楪の里」も良かった。5つの話を読み終えた結論、良さげな旅館に泊まりにいきたい!
2024/07/29
b☆h
タイトルに惹かれた一冊。ホテルより旅館が好きで、旅行には旅館を選ぶことがほとんどの私。ここ三年ほどはまともに行けてないけど、旅館の雰囲気を楽しめた。初読み作家さんは泉さんと羽泉さんだったけど、今回は〝花明かりの宿〟〝楪の里〟がじーんとできて、しみじみと良かった。人との縁をとても感じられる短編で、もっと浸っていたかったほど。阿部さんは『パラ・スター』もとても好きだったから、もっと読みたい。
2023/03/10
あつひめ
点訳入力完了。旅館という言葉にひかれて選んだ。web配信を加筆修正してまとめたものだそうだけど、そんなに長いものではなく重すぎず軽すぎずといった印象を受けた。全員が初めての作家さんなので今後それぞれの人の作品を読む機会があればと思っている。
2023/11/27
ひさか
Web集英社文庫2022年11,12月月配信の花明りの宿:阿部暁子、ヨイハナビ:羽泉伊織、楪の里:谷瑞江、父さんの春:宇山佳佑、宝塚の騎士:泉ゆたか、の旅館が登場する5つの短編に加筆修正し、2022年12月集英社文庫から刊行。旅館との繋がりは強いものと弱いものがあり、ジャンルを問わない多彩なアンソロジー。谷さんの楪の里、泉さんの宝塚の騎士は、どちらも、亡くなった母の話で、展開が面白く興味深い。羽泉さんのヨイハナビは神さまがでてくるユーモアファンタジーだが枚数不足の感が少し残念。
2023/05/05
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