アナログ (集英社文庫)
アナログ (集英社文庫) / 感想・レビュー
そる
穏やかで静か、人情のあるお話。率直に言うと展開少なく大きな出来事もなく少々退屈。私はデジタルやネットが苦手なのでこの思いはよくわかる。ただ最後にもあるように、必要な部分はあるし便利なことも多いから使うとこ使って、過信したり飲まれすぎないようにすればと思う。こういう恋愛自体は純で好き。体やお金や物じゃなく気持ちだけを喜ばせる関係っていいなと思う。「もしそばにみゆきがいたら、この臭いも気にならないし心地よく感じられたかもしれない。幸せな気持ちになんて、大切なものが一つだけあればなれるものなのかもしれない。」
2023/10/09
馨
スマホでいつでも連絡がつく現代に、携帯を所持しないみゆきと毎週木曜に喫茶店で約束せず会うというたけしさん作のアナログな恋愛小説。購入を迷っていたところ映画化、ナツイチに後押しされました。二宮さんと波瑠さんが演じるとの前情報から、全て2人を思い浮かべながら。ピッタリな配役だと思います。起承転結がしっかりしており短めながら言いたいことは全て詰め込んだ感じがたけしさんらしいなと感じました。脇役のギャグ等もたけしさん色。今のサラリーマン世代の会話や飲み方じゃないと思うシーンもあるもののたけしさんだから許容範囲。
2023/07/13
美紀ちゃん
文庫で再読。連絡先を聞かずに木曜日の夜「ピアノ」というカフェで会う。自分に用事ができてしまい「ピアノ」に行けなくても連絡はできない。毎週木曜日を楽しみに生活を頑張る。そんな恋愛。仕事で出張、大阪へ。連絡もできず心配で仕方がない。でも彼女はちゃんと待っていてくれた。プロポーズしようと決心したその日、彼女は来なかった。しばらくずっと彼女に会えなかった。なぜなのか理由もわからない。あきらめるしかないのか?とモヤモヤしながら大阪に転勤。しかし!そんな時に大発見。友達が温かい。面白い。良い親友たち。泣ける恋愛小説
2024/06/14
いこ
以前、たけしさん監督の『あの夏、いちばん静かな海。』という映画を観た。聾唖の男女が主人公なので、台詞をほとんど排した静かな映画だった。本書を読みながら、その時と同じ静謐さを感じていた。実際には、こちらは主人公「悟」に漫才コンビのような悪友がいて、絶えずうるさく話しているのだが。悟は行きつけの喫茶店で、ある女性と出会う。その女性は「木曜日にここにいるから」と言うだけで、二人は連絡先も交換せず、木曜ごとにそこで会う。しかし、突然彼女が姿をみせなくなった。その理由とは。切なくて、胸が詰まる恋愛小説。
2024/06/18
mayu
連絡先を交換せず、毎週木曜に会う約束をする。スマホでいつでも気軽に連絡をとれる現在に、あえてアナログな選択を。会えない時間に相手を想うときめきやもどかしさを素敵だと思う。「人と人との関係を作るのに大切なのは、会っている時の信頼感」確かにそうなのかもしれない。アナログからデジタルへ。二人で生きていくために、アナログを大切にしていた二人が受け入れたもの。素直なハッピーエンドを期待していたから切なくなるが、それでもこの二人には幸せを掴んでほしいと思う。ふざけてばかりだが、いざとなれば助けあう友情もまた良い。
2023/09/10
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