風よ あらしよ 上 (集英社文庫)
風よ あらしよ 上 (集英社文庫) / 感想・レビュー
rico
熱い。手の中で本が暴れてる。押さえつけても押さえつけても、大地を割るマグマのように溢れ出すエネルギーは誰にも止められない。伊藤野枝。激しすぎる。明治後期から大正期、しがらみも道徳も常識も蹴散らし、駆け抜けた。彼女を葬った人々は、これから彼女が起こしたはずの風に怯えたのだろうか。上巻は大杉との出会いまで。引き込まれ一気に読めるはずが、彼女の熱に気圧され、なかなか読み進められない。結末はわかってるから辛い。でも追いかけて行こう、最後まで。感想下巻で改めて。
2023/10/11
mocha
縁の地に住まいながら伊藤野枝氏のことを何も知らなかった。身の内に火の玉を持ち、逆風に抗い続けた短い生涯。満ち足りた現代に安穏と暮らす身では、ただただ凄いと思うばかりだ。上巻終盤に登場する神近市子の出生の地もまた、身近な片田舎だ。当時東京はうんと遠かったはず。彼女達の意志の力と行動力に驚嘆する。そして彼女達をそうまで惹きつけた大杉栄という人物についてもっと知りたくなった。ドロドロの五角関係を追いかけて下巻へ。
2023/09/15
どぶねずみ
以前に『村に火をつけ、白痴になれ』で初めて伊藤野枝のことを知った。本書はNHKドラマおよび映画の原作として、さらに伊藤野枝を深く知ることができる。以前はそれほど興味があったわけではないが、今なら尊敬できる人物だ。100年前から女性が女性らしく生きるための主張をされてきた方。納得できないことをなんとなく終わりにしない。これが我が儘なのか、ごもっともなことだと考えるかは人それぞれだが、私自身が上品な上流階級で育ったわけではないので、親近感を感じる。彼女の人生の結末を知っているだけに、読み終えて溜め息が溢れる。
2024/06/14
のびすけ
女性開放運動家、伊藤野枝の生涯。まだ女性の生き方に制約の多かった世の中。野枝の中に渦巻く情熱。辻潤、平塚らいてう、大杉栄との出会い。下巻へ。
2024/02/15
小夜風
【所蔵】今年は関東大震災から100年の節目に当たるとのことで9月の地元の新聞に100年前の記事が毎日載りとても興味深く読んだ。明治生まれの祖父母から少し聞いてはいたが初めて知ったことも多く、その中で「甘粕事件」を検索してこの本に行き当たった。思想で弾圧されたり死刑になってしまったり、時代だと言ってしまえばそれまでだけど、何故そんなことが…と想像もつかなかったので、上巻を夢中で読んだ。この時代に自分の生きたいように生きている凄い女性たちがいたんだな。結末は判っていても、どんなふうに生き抜けたのか見届けたい。
2023/10/22
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