累々 (集英社文庫)
累々 (集英社文庫) / 感想・レビュー
あきぽん
ある「仕掛け」のある恋愛小説集。一編一編よくできているけど続けて読むとあれ?と思う。そしてそのあれ?の答えは解説で腑に落ちる。歳は「重ねる」とうより少しずつ別の自分になっていくことだ。それにしてもヒロインのように結婚早い人やっぱりすごい…。
2023/10/11
よっち
夕食の最中に告げられた30歳の彼からの味気ないプロポーズ。結婚すべきなのか分からない小夜の戸惑いから始まる連作短編集。二年付き合った彼からのプロポーズに対する小夜の戸惑い、獣医の石川と友達以上恋人未満の女性の関係、恋愛シミュレーションゲームのようにパパ活女子との逢瀬を繰り返す星野と出会った女子大生、そしてのめり込むように先輩に恋をした美大生の結末。積み重ねられてきたエピソードを思うと何とも深いな…と思えるクライマックス、そして改めて振り返ってみるとそれぞれの話やタイトルの持つ意味の重みがじわじわ来ました。
2023/05/19
エドワード
今を生きる、23歳の女性・小野小夜が多面的に描き出される面白さ。今ホットな未婚の若者の心を現場に最も近い場所でみつめている。ちぃと呼ばれた美大生時代。先輩への、届かない切ない思い。学費を稼ぐためといってパパ活をするユイ、恋人・葉の友人とセフレの関係を持つパンちゃん、いずれも小夜の別の顔だ。だが今夜も小夜は葉の部屋で青椒肉絲を作って彼の帰りを待っている。プロポーズされても即答できない小夜。何を恐れているのか、何を躊躇っているのか。特別な日々が日常になること?自分でもわからない。そして…結婚はスタートだよ。
2023/07/01
mayu
ずっと気になっていて読みたかった作家さん。結婚、せフレ、パパ活、溺れるような片思い、リアルに想像できる世界は読むごとにどんどん引き込まれて、最後の幸せな雰囲気の中に漂うざらつきになんとも言えない気分になった。やー凄いなぁ、面白かった。「お金が貯まっていくとこんな自分でも価値があるんだなーって認められた気がして安心する」という言葉に共感したくないのに少し共感してしまう自分がいた。とても自由で奔放、でも相手の望む自分になろうとしたりする。矛盾している人間の裏側を見た気がした。他の作品も読んでみたい。
2023/05/24
なみ
同棲中の恋人からプロポーズをされた小夜は、結婚について考え、思い悩んでしまう。 さまざまな女性の恋を描いた短編集。 好みの問題ではあるのかもしれませんが、とにかく文章が完璧すぎました。言葉の選び方も並べ方も、リズムも大好きです。 読み心地の良さと、メンタルにくる内容とのギャップがたまりません! 『ちぃ』の最後の方の、心をズタズタに引き裂かれる感覚をたくさんの人に味わってほしい。最高です。 途中で明らかになる意外なつながりにも驚きましたし、つながったことで、ひとつひとつの話がより面白く感じられました。
2023/06/05
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