母 ―オモニ― (集英社文庫)
母 ―オモニ― (集英社文庫) / 感想・レビュー
kaizen@名古屋de朝活読書会
第二次世界大戦の朝鮮と日本。在日として激動の時代を生きた母とその廻りの人々を描写する。母親を敬う文化が強いことが分かる。著者は政治が専門であるが、政治的な論説ではなく、事象の描写に勤めている。青春と読書2008年3月から2010年2月号に掲載。単行本化にあたり、大幅に加筆・修正したとのこと。
2013/07/30
優希
心が打たれずにはいられない「母ーオモニー」の物語でした。18歳で単身日本に嫁ぎ、在日として戦中戦後を強く生き抜く姿は容易に想像することはできません。家族のために働くことを惜しまず、ひたむきに家族を守ろうとするのが美しかったです。周囲との絆や葛藤。歯を食いしばるように生きる労苦は日本人以上のものだったに違いありません。異国の地で激動の時代を過ごした母の愛情を凄く感じました。学がなく、字が書けない母が残した録音メッセージは胸が熱くなります。言葉で簡単には語れない感動があり、何度も読みたい本になりました。
2015/05/10
さと
「心」に続いて二作目。テレビで拝見する姜氏からはうかがい知れない、氏自身が心に刻むアイデンティティーに触れたような一冊。母を通して知る自分自身に流れる民族の血と身を置く環境との間で苦しみながら、姜尚中であることを認め受け入れていく。異国で生き抜くとは、己を問うことなのだろう。支え導いたのはやはり母、絶対的な存在であった。私とて、日々社会の中で異邦人である自分を認めざるを得ない時がある。でも 異邦人であることを良しとしよう、そう思える一冊でもあった。
2015/11/25
扉のこちら側
初読。2014年1036冊め。16歳で言葉もわからず日本へ嫁ぎ、戦中戦後と歯を喰いしばって生きてきた人たち。読みながらずっと流浪の民を思い浮かべていた。「慣れし故郷を離れきて 夢に楽土求めたり」
2014/11/07
ユカ
読みながら、自然と祖母のことを思っていました。祖母は日本人だけれど、同じ時代を生き、苦労を重ねたのだろうなと。姜尚中さんの御母堂は、異国で生きるという計り知れない苦労を経験した方。感想は、簡単には書けないです。
2015/05/03
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