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セーヌの川辺 (集英社文庫)

セーヌの川辺 (集英社文庫)

セーヌの川辺 (集英社文庫)

作家
池澤夏樹
出版社
集英社
発売日
2013-06-26
ISBN
9784087450873
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セーヌの川辺 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

著者は2000年代の初め、パリ郊外のフォンテーヌブローで5年間を暮らした。その折の思索を綴った、文字通りのエセー(モンテーニュばりのという意味において)。フランスと日本の彼我の差を並べ立てることに意味はないが、それでもやはりフランスが羨ましくなることしきり。政治的なデモにおいても、また景観を守る姿勢においても。また、歴史が持つ重層性のあり方が決定的に違っているように思われる。そのことは、篇中で紹介されているケン・ローチがアイルランドを描いた映画『麦の穂をゆらす風』にまことに象徴的なように思われる。

2018/03/25

piro

当時パリ近郊のフォンテーヌブローに暮らしていた池澤さんのエッセイ。豊富な知識に裏付けられた深い話、フランスという国への鋭い考察など、知的興味を大いにそそられる一冊でした。私の知識ではなかなか付いて行きづらい所もありましたが、共感する所も多く、また私自身が朧げに感じていた事が明晰な文章で語られていたりして、大きな充実感を得られた読書時間でした。自由主義と共和国に関する件は大きく首肯。フランスに行って来たばかりだったので、より一層彼の国への興味が高まりました。

2024/10/03

棕櫚木庵

セーヌの川辺にある,パリならぬフォンテーヌブローに暮らし,パリや地方,時にはイタリアやスコットランドに出かける生活の中で見聞きしたことからあれこれ思い考えたことを記した書.何百台という車が燃やされた騒ぎについて,この「争乱・暴動・蜂起・示威(立場によって呼称はこれくらい変わるはずだ)」(p.23)という一句からもうかがえるように,多様な視点からフランスや日本が論じられている.単純なフランス賛美でもなく,日本の夜郎自大でもない.自国を相対化する視点を与えてくれ,多くのことを教えられた.→

2024/09/14

ケニオミ

連れ合いのお薦めの本です。コロナ騒ぎで近所のどの図書館も閉まっているので、読む本が手許に限られてきたため読むことにしました。フランスに住んでいた頃の池澤さんが記したエッセイです。教養がある人というのは彼の事を言うのかしらと思いました。嫌味がなく、広範囲の知識を見せていますね。異国にいるということで、日本の事を客観的に見て指摘していますので、読者の僕も勉強になりました。

2020/05/02

ティオ

池澤さんの文章はやっぱり好き。「二十歳の頃」には感動に近い感銘というか共感を感じた。このエッセイで、自分がどうして池澤さんの文章が好きなのかがすごく腑に落ちた気がした。自分自身との向き合い方、世界との距離の取り方がきっと似ていて、だから読んでいて心地いいんだろうなぁ。

2015/01/23

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