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なくしたものたちの国 (集英社文庫)

なくしたものたちの国 (集英社文庫)

なくしたものたちの国 (集英社文庫)

作家
角田光代
松尾たいこ
出版社
集英社
発売日
2013-08-21
ISBN
9784087451016
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なくしたものたちの国 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

小学校に上がる第1話から「なくしたものたちの国」にいたるまでの道程を5つのエピソードを軸に「わたし」(成子)の一人称語りで綴る連作短編集。いずれのお話も「不思議」と現実とが交錯する形で語られてゆく。ただし、その「不思議」は、あるいは成子の幻想であるのかも知れない。5話の中では、しいて言えば「キスとミケ、それから海のこと」に一番共感を覚えるが、全体のトーンはあくまでも軽く、したがって深刻に胸に響くというほどには至らない。松尾たいこ氏の絵はいいが、本文との有機的な関連性を持たないのははなはだ残念である。

2019/03/13

masa@レビューお休み中

読了後に感じたのは、気色の悪いゾワゾワ感だった。人によって感じ方は違うし、きっとこの物語に爽快さを感じる人もいるかもしれない。けれども、僕はそうは思わなかった。ねっとりとして、すっきりとしない。人間の業のようなもの、欲望の果てにあるものを見せられたような気がするのだ。ひとりの女性の生涯を追った物語は、なくしたものたちをテーマにしている。なくしたものたちはどこに行くのか。なくしてしまったカメラも、金のかんむりも、山羊のゆきちゃんも…。すべてが集まる国があるとしたら、あなたはそこに行きたいと思いますか?

2016/01/05

ちゃちゃ

なくしたものがたとえ何であろうと、かつて自分と繋がったものが失われてしまったという喪失感は痛みをもたらす。お気に入りの髪留めだったり、プレゼントされた手袋の片方だったり、重要な仕事上のデータだったり…。でもそれは、どこか遠くの「なくしたものたちの国」に保管されているのだ、と思うと心が和らぐ。今は見つからなくても、いつか遺失物保管庫の鍵を手に入れて、再び会えるかもしれない。そう思ったとき、やはり心に浮かんだのは亡き母の笑顔だ。いや、鍵はこの手の中にある。そして、遺失物保管庫はこの心の中にあるのかもしれない。

2020/03/14

アン

なくしてしまったもの。忘れてしまった事。花飾りのついた麦わら帽子、水玉のビーチサンダル、星のピアス、そして恋。松尾たいこさんのカラフルで洗練されたイラストから角田さんが紡いだ愛しい物語5編。なくしたことの心細さ、持ち続けている不思議さ、薄れていく記憶、懐かしくなる思い…。そういう全てのもので人生は成り立っているのだと感じます。なくしたものが、あの頃のままどこかに在るのだとしたら、優しい気持ちで出逢えるような生き方をしたいと、ふと思いました。この本もお二人からの『Presents』。

2019/08/02

ケンイチミズバ

女子高生になったナリを電車でナンパした男子中学生は亡くなったミケ。海が見たかった。海が見れてうれしい。授業をさぼり、かつてのミケと海に行った。銃一郎がミケだと母が信じなかったらなんて杞憂だった。平然と思い出をしゃべる彼を抱きしめた母の顔は涙で溢れた。このシーンがすごく好き。苦情が来てペスを山まで捨てに行った。バイクが加速しペスは追いかけるのを諦めた。父の背中にしがみついて泣いた。翌朝、ペスがいつものように犬小屋の下から出てきてあくびする姿を見て私は回転して喜んだ。ペスが死んでからペットは飼っていません。

2017/03/21

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