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おとぎのかけら 新釈西洋童話集 (集英社文庫)

おとぎのかけら 新釈西洋童話集 (集英社文庫)

おとぎのかけら 新釈西洋童話集 (集英社文庫)

作家
千早茜
出版社
集英社
発売日
2013-08-21
ISBN
9784087451047
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おとぎのかけら 新釈西洋童話集 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

グリムとアンデルセンの童話を元にした7つの短篇物語集。いわば和歌でいう本歌取りのような手法。ただし、本歌は面影からそれとわかる程度で、主題は大きく転換している。また、いずれにも共通するのが、ホラーの要素を含むことなのだが、「白梅虫」(ハーメルンの笛吹男)を除いては、そのホラーの出所は人ならぬ魔界のものではなく、すべて人間の中に内在するものである。すなわち、人間性に潜むどうしょうもないような邪悪なるものを物語化によって浮かび上がらせるのである。そしてその手法は実に巧みであり、大いに成功しているだろう。

2021/02/04

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

物心つく前から、女というものはついてまわった。鼻息の荒い男ども、脅えて震えていた頃もあったのかしら遠い記憶ね。だまってほほ笑めば勝手に都合よく解釈してくれる、可愛らしい生きものです。蔑んでカドミウム・レッドの線ひいた。遠くから見ているだけならよかったのに。いつしか心のなかに男というものをいれてしまった。そう、かなしみのはじまり。心をいばらでまもってねむり続ける異国の姫。誰も助けてはくれない、ほほ笑んでいるだけでは。ねむりを破るのはいつだって私です。でもかなしみは、しあわせのはじまりでもあったのです。

2020/10/20

風眠

虐待、いじめ、嫉妬、猜疑、人には言えない趣味嗜好、嘘、裏切り、道ならぬ恋。おとぎ話も童話も昔話も、ネタ元を辿れば人の心に巣食う闇というものを説いているのだと思う。遥か昔も、たった今も、人の心というものは、いとも簡単に闇に引きずられてしまうものなのだ。だから気をつけなければならない、自分の中に戒めを持っていなければならない。けれど千早茜が描く現代版童話はただ残酷なだけではなく、ずぶずぶの闇の中でも光さす瞬間がある。もう一度、人を信じてみようか、そう思わせるような光。何となく耽美な香り漂うのは、彼女の筆力か。

2019/06/02

❁かな❁

お気に入りの千早茜さん作品を読むのは6作目。今回は西洋童話のシンデレラ、白雪姫、マッチ売りの少女などをモチーフに現代風に千早さんらしい文体で描かれています。7編からなる短編集。童話って本来、残酷な物も多いですが、そういうのをいかし怖くて妖しくて美しい雰囲気の作品に仕上がっています★特にお気に入りなのはシンデレラをモチーフにした「金の指輪」です♪白雪姫の「カドミウム・レッド」いばら姫をモチーフにした「アマリリス」も良かったです!千早さんは色んな作品を描かれますね!他の千早さんの作品も読むの楽しみです♪

2014/02/16

まこみん

お馴染みの西洋童話を基に現代にアレンジした短編集。とは言っても内容はかなり独創的で、元題名が書いてなければ判らない位。主要登場人物が正常を装いながら狂気を秘める。そんな中「金の指輪」(シンデレラ)は話はハッピーエンドだったけれどちょっと肩透かし感も。「凍りついた眼」(マッチ売りの少女)と「カドニウム・レッド」(白雪姫)が残忍さと悲惨さで心に焼き付いた。

2017/07/29

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