廃院のミカエル (集英社文庫)
廃院のミカエル (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
もうアルバニア国境に近いギリシャ最奥地、アナトリキ地方が物語の舞台。まずは、よくこんな地を思いついたものだと感心する。この地にはギリシャ正教の修道院が点在しているらしく、本書でも、このギリシャ正教が重要な要素の一つになっている。日本人には馴染みの薄い教派だが、篠田節子氏はこれをモチーフとして実に上手く用いている。小説は謎解きの要素をはらむが、3人の登場人物たちのトラウマを巧みに炙り出してゆく手法は、まさに小説巧者の名に恥じない。読者は主人公の美貴に感情移入して読み進め、サスペンスを味わうことになる。
2018/09/09
まこみん
過去の失敗から国外に放逐された形の美貴はギリシャの地方の特別な蜂蜜を求めて現地ガイドの綾子を雇う。壁画修復師の吉園入れて3人の日本人が廃修道院を訪れた事で目に耳にしたものは。ホラー、オカルトっぽい展開でその雰囲気を暗く引き摺りながら、ラストは原因解明へと。人其々にある心の蟠りや後悔の念は、心の深部に降りる梯子を創造した。途中冗長感がしたのと、主人公がどうも好きになれなかったのが残念。
2018/10/08
Bugsy Malone
3人の日本人を軸に描かれるギリシャの地方都市の修道院という特殊な環境とそこにに救いを見出そうとした人々。じわじわと忍び来る不気味さが修道院を取り巻き、ホラーなのかミステリーなのかサスペンスなのか、後半に及んでもそれすらはっきりとは掴めず、焦れったさを感じながらも読み止めることが出来ない。大変面白かったです。
2020/03/15
バイクやろうpart2
篠田節子さん作品6冊目です。篠田さんを教えてくれた読友さん、ご推薦の作品でした。ギリシャというシチュエーションが神秘さ、悪魔的な映像を意識させながら、巧みな演出でバイオハザードで締めくくる所、"こうきたかぁ" って感じ!期待通リでした。お薦め頂いた1冊ですが、是非、そのバトンをお渡ししたいと思います。
2018/03/10
森オサム
著者初読み。ギリシャを舞台に、ホラーなのかサスペンスなのかはっきりしないまま、「廃院」で起きる現象の謎を中心に話は展開して行きます。しかし、ただただ、読み進めるのが辛かった。ストーリーとかは関係無いです、主人公の美貴がとにかく嫌いだったから。解説者の方も、こう言うクセのあるキャラクターを主人公にもってくるのも冒険、と書かれていましたが、正にその通り。こんなに自己中心的で強引、他人に配慮せず、短絡的で、無駄に行動的な人は信じられない。読み終わって、まだ胸がむかむかする。せめて脇のキャラが魅力的なら…。残念。
2020/04/29
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