南海の翼 長宗我部元親正伝 (集英社文庫)
南海の翼 長宗我部元親正伝 (集英社文庫) / 感想・レビュー
W-G
シブイ武将のチョイスが好きで、ちょこちょこ読み漁っている著者である。その著者にしてはメジャーどころを攻めているのがこの作品。単体作品は少ないものの、戦国時代の小説では少なからず名前を見掛ける長宗我部元親。期待以上に面白かったが、後半は若干テンションダウン。前半の若き元親像が好きになりすぎたせいかもしれない。信長の所業を論じながらも、どこかその存在をリアルに感じきれていない暢気さというか、そういう地方武将の描写が上手いと感じた。自分の天秤に悩み苦しむ様を描いたのは正解だと思う。
2021/05/25
けやき
天野純希さんによる長宗我部元親。元親の四国統一のために戦と謀略に明け暮れたがその夢が破れ、その後息子信親を喪ってからの虚脱の激しさに人間の弱さを思った。盛親の思いが描かれてるのもよかった。元親は「夏草の賦」で盛親は「戦雲の夢」(ともに司馬遼太郎)で読んでたけどまた違った味わいがあった。
2020/06/08
巨峰
面白かった。既存の長宗我部物である司馬遼太郎作「夏草の賦」「戦雲の夢」を超えていると思った。史実を基にした丁寧な創作でありながら、長宗我部家の大きな転機となった戸次の戦いの新解釈は飛躍しながらもより納得できるものとなっている。未完の大器だった信親や、四国きっての豪傑十河存保が清涼剤になっている。長宗我部家の消長を、歴史小説として正攻法で描かれており十二分に楽しめるものとなっている。
2015/10/15
ロマンチッカーnao
戦国時代の四国の覇者、長宗我部元親。秀吉の島津征伐における戸次川の合戦の解釈が面白かった。事実はどうだったかはわからないけど、この解釈にはなるほどと思いました。しかし、息子の信親。四国を支配した元親の代よりも隆盛を極めるだろうと誰もが評価、あるいは恐れる戦国武将。豊臣秀吉は本気に殺しておきたかったのか。生きていればどうなっていたのだろう。関ケ原の合戦で長宗我部家が滅びることはなかったのではないか。とか色々想像してしまう。息子がしんでからの元親は悲しい。しかし戦国の英雄の一人であることにはかわりない。
2022/07/17
フミ
久しぶりに戦国・四国の雄、長宗我部元親の話が読みたいな…と、手に取ってみました。元親だけではなく、家を傾けた奸臣と呼ばれる「久武親直」が、主人公格で驚きの読み始め。 他にも、息子・信親や盛親、讃岐・阿波で激戦を繰り広げた「十河存保」の視点でも、物語が描かれていて、作者様の史観が、よく見えてくる作品でした。「戸次川の戦い」以降の80頁ほどは、久武親直が主人公格だけあって、長宗我部で起きたお家騒動が生々しく「うわぁ…」という感じに。色々と、元親に言いたくなる作品でした。「土佐1国で満足してたら良かったんや…」
2023/07/21
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