雪男は向こうからやって来た (集英社文庫)
雪男は向こうからやって来た (集英社文庫) / 感想・レビュー
ゆいまある
空白の5マイルの興奮が忘れられないまま、雪山探検の夢を見た。これはすっかり角幡さんに取り憑かれてしまったなと、禁断症状を宥めるが如く手にした。雪男探しというと、高野さんのフイハイ捜索とどう違うんだと思ったが何も変わらない。角幡さんはあくまでもジャーナリズムに拘り、自分の期待に振り回されないようブレーキをかける。6回目の雪男探しで命を落とした鈴木さんが、最後に妻に宛てた手紙が切ない。あちこち直す村上さんが面白い。最後にはまた、角幡さんが一人切りで山に篭もる。そう、この静謐な雰囲気がまた読みたかったのよ。満足
2019/01/14
saga
早大探検部の先輩である高野秀行とは違い、未確認生物に懐疑的だった著者。ツアンポー峡谷を探検する前に、新聞記者の職を投げ打った不安定な立場で偶然に出会った雪男捜索隊への誘いという切っ掛け。それが適当に距離を置いてリポートする視座を得たのかもしれない。しかし、それによって雪男を目撃する幸運に恵まれなかった……それが本書のタイトルとなった深い意味に繋がる。映像に収めようと意図しても、露出オーバーだったり、濃霧に阻まれたり。さて、雪男は実在するのか? 21世紀の現代でも謎なのだ!
2017/11/30
KAZOO
雪男というのはその方面に情熱を燃やす人々にとっては憧れといったようなのかもしれません。この本を読んでみてそう思いました。著者も初めは中立的な立場にいて、雪男がいるかどうかはわからないという感じでしたがそのうちにミイラ取りのような感じになって、読んでいるほうも本当にいるのではないかという気にさせられます。ドキュメントとしてはおもしろく読みましたが、「空白の五マイル」のほうが迫力があったように感じました。
2015/05/03
扉のこちら側
初読。2015年679冊め。著者の「空白の五マイル」が面白かったので手に取った。今現在も雪男は明確には発見されていない。それなのに何故このタイトルなのかというのは、読むと納得させられる。取りつかれたように魅了され探してしまう、どこか哲学的なものも感じる終わり方。
2015/06/24
ホークス
雪男を探してヒマラヤに行く話だが、著者が元新聞記者らしく適度に懐疑的なのでトンデモ度は低い。雪男の様な「発見できるかも」と思わせる存在には、異常なまでに惹きつける引力がある。解説にもある通り、無謀な宝探しや熱烈な信仰とも通じ、選ばれし者の業なのかもしれない。本書に登場する登山家や探検家も、程度の差はあれ取り憑かれている。著者の関心はこうした人間心理だったが、結局自身も取り憑かれていくとは予想外だった。本書で知ったが、小野田少尉を発見した探検家は雪男を6度捜索し、最後は遭難死している。
2017/08/26
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