月は怒らない (集英社文庫)
月は怒らない (集英社文庫) / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
心を許さない女がいた。社会のボーダーラインで生きてる男がいた。甘ったれてる男がいた。寄りかかりたい男がいた。花に集まる蜜蜂のように、男が求め女が受け入れた3対1の恋愛ゲーム。女は男達と会わない時、公園で明日の記憶をなくした老人と言葉を交わし、無機質だった心に温もりを取り戻していく。そして一つの決断を下すが、危ういバランスで成り立っていた関係には歪みが生じ、ドラマはクライマックスに向かう。途中まで垣根さんの作品イメージと違って戸惑いましたが、希望が持てる結末でした。最高傑作とは言えなくても良作だと思います。
2014/12/24
小説を最初に書いた人にありがとう
久々の垣根作品。やっぱり好きだな。ここまで登場人物の心中の吐露で物語が進められるのには驚き。主人公の女性の神秘性には読んでいて魅力を感じた。たぶん自分も惹かれると思うし、登場する男たちに負けないくらい屈折してる自分に気づかされた…。 この前に読んだ垣根作品の人生教習所に通ずるものを感じた。たしかあちらにも梶原っぽいキャラが居た気がする。確かめてみよう。
2014/06/11
Yunemo
一瞬虚無的なタイプかな、との想いがあったのです。無機質で達観した女性、確かに心惹かれる部分ありますが、自身にとってはちょっと無理かも。精神的に安定して、自立した女性、というよりもっと幅広い人間。「恥ずかしがる」と「恥じる」の違い、この微妙なニュアンス、これが全体に沁みわたっているのでしょう。「水観」、「月観」、ここまで来ると禅問答。あまり深く考えずに、こうした世界もあるんだ、という程度の感じ方で読了するのが一番いい。最後にちゃんとした感情が表現できて、何となく、大人のメルヘン、これでいいでしょう。
2014/06/07
choco
再読本。垣根さんのハードボイルドも好きだけど、こういう影のある本も大好き。あとがきがまた、垣根さんらしい。
2017/05/20
けぴ
君たちに明日はないシリーズと似たテイストの作品。垣根さんは恭子のようなキリッとした女性が本当に好きなんでしょうね!恭子の周りを取り巻く4人の男たちの描き方も特徴が明確で最後まで緊張感高い仕上がりの秀作でした。
2023/04/12
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