韃靼の馬 (下) (集英社文庫)
韃靼の馬 (下) (集英社文庫) / 感想・レビュー
s-kozy
上巻よりもさらにテンポが増して、グッと盛り上がった下巻。物語は歴史活劇から冒険活劇の趣きへと変化した。いやぁ、面白かった。これは「二身一生」の物語。金次東(キムチャドン)となり朝鮮の地で新たな人生を築いた克人の下に新たな命が。財政難に陥った対馬藩を救うために八代将軍吉宗に献上する伝説の馬(これが「韃靼の馬」)、一日千里を駆ける汗血馬を手に入れろと言うのだ。果たして克人は伝説の馬を手に入れることができるのか?その後、克人はどんな人生を選ぶのか?ぜひ、読んで確かめてみてください。第15回司馬遼太郎賞受賞作品。
2017/10/04
kawa
半島で朝鮮人として生きることとなった克人。将軍・吉宗の要望でモンゴルへ韃靼馬を求める旅へ、辻原マナーのロードムービー全開。「一身二生」「一書二話」その展開に唖然としながら、一粒で2度楽しめるエンタメ活劇小説と解釈。満足の読了ということでした。
2022/11/13
ネムル
エスピオナージュ色の強い第一部から一転、二部は伝説の馬を求めモンゴルを駆ける冒険小説へと。桜庭一樹が解説で、辻原登と19世紀文学とについて描いているが、むしろ本作は西部劇、ジョン・フォードの世界だとして推したい気がする。『許されざる者』同様に歴史巨篇というスタイルでは、辻原登はベタなシーン(出会いと別れ、船が来る/去るなど)を多く描くが、決して演出を外さない。そうしたところも、とりわけ映画的な空気をまとっている。
2014/08/12
てぃと
第二部に入ってガラリと趣が変化。侍が大陸を舞台に活躍するストーリーはとても新鮮に感じます。故郷へ立ち寄っても最後まで朝鮮人の金次東としての振舞に徹した克人を見て、まさに「一身ニ生」の言葉こそが本書の本流に流れる壮大なテーマだったと思います。歴史と冒険の両方の要素を備えたストーリーで最初から最後まで楽しめました。良い小説に出会えました。
2018/02/20
さかぐち
外交って大変。はたから見れば些細なことも国のメンツが関わってくると途端にややこしくなる。 朝鮮通信使が上京するよりも、天馬を探す後半の方が好み。 対馬・朝鮮の関係を知らなかったので面白かった。 朝鮮半島の歴史についてもっと知りたいと思った。
2015/03/09
感想・レビューをもっと見る