なずな (集英社文庫)
なずな (集英社文庫) / 感想・レビュー
コットン
ある意味、なずな(赤ちゃん)が主人公の物語。「なずなが、ちょっとだけ、身体をよじる。また、反対によじる。寝返り、という言葉が思い浮かぶ。嫌な意味にも使われる言葉がこんなにも肯定的に響くのは、赤ん坊だけに許された特権なのだろうか。」となずなを見る目がやさしい。赤ん坊がいるだけで潤滑油のように人生が豊かに感じる情景を描いていて面白い。
2015/04/28
優希
あたたかさを感じました。やむを得ない事情から、弟夫婦の子・なずなを預かることになるのですが、そこから世界は一転したように思えます。おおらかで優しい世界に。未知の体験をまわりの人たちの優しさに支えられながらなずなと生活する「私」。みずみずしくて爽やかな読後感です。
2021/07/30
KAZOO
作者は自分での経験があったのでしょうか?かなり0歳児の面倒見をきめ細かに描写しています。それを独特の上手な文章で書かれています。情景が浮かんでくるような気がします。あまり事件もおきないような普段の生活をうまく作品にしたものだと感心しました。
2014/12/09
ユメ
新聞記者である「私」は、弟夫婦に非常事態が出来したため姪のなずなを預かることになる。不慣れな育児に苦戦しながらも「私」はなずなを心底愛しく思い、彼女の成長は「私」の目に映る世界に変化をもたらす。「世界の中心は、いま、《美津保》のベビーカーで眠るなずなにある」赤ん坊がこれほど求心力を持っているとは知らなかった。なずなの周りにいる人々はなずなの一挙手一投足に頬を緩め、それは読者である私も例外ではない。なずなによって大人たちの空気が和み、近くの、あるいは遠くの人と人とが緩やかに繋がってゆく光景はとても温かい。
2020/02/20
エンリケ
独身中年男の子育て奮闘記。とある事情で弟夫婦の娘を預かる事に。娘はまだ生後3カ月。夜泣きに疲弊しながら在宅で仕事をこなす。育児には神経質なくらい真面目に取り組む彼。全く天晴れな心掛け、と言いたい所だが、考えるとこれは世の母親全てがこなしてきた激務。殊更に特別視するのは間違いかも知れない。とまれ悪戦苦闘する彼を見かねた周囲の人達は、温かく二人に協力する。お話は然程起伏もなく、主人公の随想の様に進む。様々なエピソードが最後に集約されるのかと思ったが尻切れ蜻蛉の様な終わり方。やや退屈を感じながら読了した。
2016/09/08
感想・レビューをもっと見る