水のかたち 下 (集英社文庫)
水のかたち 下 (集英社文庫) / 感想・レビュー
aika
ゆっくり、一滴一滴としたたる水の力が石のかたちを変えていくように、誰しもが持つ人間の静かなエネルギーを、素直に信じてみたくなりました。自分以上に見せることも、以下に見せることもない、ありのままの主婦の志乃子さん。そんな彼女の素敵な人柄が、とある骨董品との出会いを惹き付け、戦後、混乱の朝鮮から命からがら逃げ延び、数百人の日本人の帰還を手助けした横尾さんの手記の真実が明らかになった時…。時代を超えて人は人と繋がることができ、極限状態でもこんなに人は強く優しく生きることができるのか、と胸がいっぱいになりました。
2019/03/03
まーみーよー
じんわりと心に響く良書。主人公の志乃子というフィルターを通して著者、宮本氏の想いを感じるような一冊。志乃子が女友達との旅で得た「他者への畏敬」。名のない庶民の「凄さ」を素直に感じとる志乃子もまた、他者である友人沙知代や周りの人々に良い影響を与えている。彼女の強さは難所をくぐり抜ける水のかたちに例えられる。素直でしなやかな強さが幸福の連鎖を生む。そして、著者のあとがきがとても素敵だった。
2021/03/09
きのこ
実際にあった手記との合作なのか。幸福への流れを書いただけあって物事がどんどんいい方向に進んでいく。読んでいて楽しい本だったけどもう少し先を読みたかったな。読後感はイマイチっす。
2017/04/27
しのぶ
上下巻セット読み。水の様に形を変えながら流れていく人生かな。邪心のない主人公のせいか全てが良い方へと転がっていく話の展開はちょっと出来過ぎかなと思いつつも楽しんで読了。きっと善い人には善い友と幸せが連鎖でやってくるものだ。
2015/10/14
Mizue
とても良かった。50才の志乃子と、友人たち、新たに知りあっていく人たちがみな善き人で、そういう人がつながりあっていくことで幸運が舞い降りてくるという、気持ちのいいお話しだった。志乃子の、真剣にはなっても深刻にはならないところがいいなあと思う。
2016/03/07
感想・レビューをもっと見る