解 (集英社文庫)
解 (集英社文庫) / 感想・レビュー
扉のこちら側
2016年586冊め。新聞記者から小説家へ、起業から政界へ、それぞれ成功を果たした二人の男。しかし学生時代からの夢を叶えた成功譚では済ませられない闇がある。こういう長期的な時間の流れを追った作品は好みで、Windows95発売の頃のエピソードなど懐かしすぎる。しかし結末に3.11を持ってきたところは「うまい」のだろうけれど、しっくりこなかった。
2016/07/23
さっとん
堂場さんは刑事モノとスポーツ小説以外はあまりハマらない作品が多かったのですが、これは面白かったです。 大学時代の同志2人の半生を描いた作品ですが、友情や成長の物語ではなく時代の変化と世代交代、その中で夢を叶えていく2人の苦悩や葛藤が丁寧に描かれていて、良い意味で重みがあって読み応えがあります。 答えのないうやむやな感じの結末には否定的な感想が多いですが、個人的にはアリです。 できることなら5年後、10年後の2人も見てみたいですが。
2021/03/23
shiozy
今年の初読本である。堂場瞬一お得意の警察物、スポーツ物とは、ちょっと異色の社会派ミステリーである。政治家と作家を目指す同級生二人の友情と確執を描く。それは、IT産業が興隆し、その後バブルが弾けた平成の時代の若者の群像でもある。若き日の殺人事件を巡って、真相にたどり着こうする作家に、その決意を押し流してしまったもの。それは東北大震災だった。そう、タイトルの「解」は、「解決」の「解」ではなくて、「溶解」の「解」なのであった。
2016/01/02
冴子
モデルになった人は想像できるが、殺人事件、2人の男の生き方を重ねながら、ITがここまで浸透する時代を味わったような気がした。事件自体は時効が成立したのだから、暴かなくても良い気はするが、大江の居直りはどうだろう? 政治家として正しくあれば、許されるものなのか? それが「解」なのだろうか? 普段読んでる堂場作品とは一味違った気がした。
2018/02/24
RIN
作中で無責任な読者レビューへ批判めいたセリフがあるので感想が書きにくい(笑)。大学卒業後もつかず離れずで政治家と小説家という夢を叶えた男2人の物語・・・と書くと何だか爽やかな物語のように聞こえるが、そこは堂場さん、綺麗事では済ませない。約20年にわたる物語なのに時の流れに過不足を感じさせないのはさすがの筆力。元同僚による解説文と比べると、やはり新聞記者の中でも文章の巧い人が作家になるんだと妙に納得(笑)。結末は堂場さんらしからぬ閉め方で、そこは読者に委ねるというより判断に迷った?という感じ、かな?
2016/06/30
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