暗くて静かでロックな娘 (集英社文庫)
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暗くて静かでロックな娘 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
映画化された『ダイナー』に続き、平山さんの作品は二作目。『ダイナー』ではグロとそのカラフルなシーンに思考を奪われて、文章の巧さに気づくことはなかった。平山さんのよさは、今作のような短編で光るように思う。一見無造作に思えるようなキレのよい文章の中に、読者はキラリと光る原石を見つけてしまう。どれもこれも好みだが、『日本人じゃねぇなら』と『おばけの子』は、ダメだ。反則だよ、平山さん。
2021/04/02
H!deking
やむにやまれず再読。小さな幸せってのは不幸の中でしか実感することが出来ない。これはそんな幸せハードルが小指の爪先程まで下がった底辺の人達の、幸せな結末を描いた短編集。どの話も恐ろしく不幸で、だからこそ一見不幸に見える結末が主人公達にとっては最高に幸せだったのかな、と思える素敵な作品達。駄目だ。書きたい事が多すぎてここでは書ききれない。とにかくただのエログロのグズグズオナニー小説ではありません。幸せハードルを極限まで下げてぜひご一読ください。読み切ったら俺がラーメン奢ってやるぜ!ドロドロのコテコテなやつ!
2019/08/15
つねじろう
いやあ平山夢明だからってわかっていても眩暈がする。何度もやめようかなぁって。でも読んでしまうし読ませる不思議な力を持つ。その反吐が出そうな状況や救いのなさエロさグロさを子供の口喧嘩レベルの言葉の連続で語る。その勢いに圧倒されたり腰が引けたりする。でもそんな中に作者は仄かでも微かでも明かりは灯して置いてくれる。それが兄弟船の白いパンプスの女だったり人形の家のはあちゃんだったり、チョロ松だったりする。それらは本当に頼りない明かりなんだけど鮮烈な希望の光になって心に残る。そんな痛くて暖かいロックな短編集です。
2016/01/11
ざるこ
10篇。派手でイカれたジャケと違わず全篇においてイカれた言葉のオンパレード。物語も暴力的でグロい。まず「日本人じゃねぇなら」でダメ男と幼い兄妹が出会い、そこに絆でも生まれるのかと思ってたらもう息の詰まる展開で。それから衝撃と溜息連続の作品が続くけど次々読んでしまう。怖いもの見たさという感覚。でも児童虐待「おばけの子」などは辛すぎて薄目で読んだ。救いなんかまったくない。読後に思うのはフィクションのはずだけど実話かもってこと。終始下品な言葉で飾られているけど、見えない事実を突きつけられたようで、また落ち込む。
2021/04/12
眠る山猫屋
頭を押さえつけられて水に沈められるような辛い前半、なんでこんなに厭世的に責められながら読書してんだと思った。こんな世界、隣にあるかも、なんてちょっとでも思ってしまったら、もう平山先生の術中。水底に沈んだ兄妹も罵声で繋がるラーメン屋も、交通事故で壊れた家庭も、反吐が出るほど疎ましくて関わり合いになりたくないのに・・・嫌いになれない。そして後半、壊れかけたはあちゃんの側に居たいが為に(一寸だけ)改心するクズ主人公やまさにタイムリーな虐待劇『おばけの子』、失われた友達の物語で魂を揺さぶられた。平山先生凄いって。
2018/07/26
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