東京自叙伝 (集英社文庫)
東京自叙伝 (集英社文庫) / 感想・レビュー
扉のこちら側
2018年186冊め。輪廻転生というのだろうか、江戸から現代の東京という都市そのものが語り手となって様々な人間の口を借りて語る壮大な話。登場人物が交錯していくのは面白い。ただページ数が多く、中盤以降は起こる事件全てに「私」が関わっていることがわかってくるので中だるみした。
2018/06/18
TATA
この作品はなんと形容すればいいのだろうか。江戸時代末期から震災まで東京の地霊の口を借りて壮大に紡ぐストーリー。いかに人は無責任か、いかに東京は無責任か。世の災難の全てはその無責任さのなせる業であり、そしてそれを尊ぶ人達の愚かさときたら!平成がカウントダウンを迎えているこのタイミングで読めたことは良かったのかな。とはいえ、最後まで奥泉さんの書きたかったことが分かりませんでしたが(笑)。人に薦めるには難しい作品ですが、読友さん達の感想を伺いたい気持ちもあります。
2019/02/04
hanchyan@だから お早うの朝はくる
♪時の〜過ぎゆくまま〜に〜この身をまかせ〜♪ というわけで。んー。これはものすごくヘンな小説だ(笑) 太字の見出しに続く短めの章での「私」語りは、まんま週刊誌のインタビュー記事のようで、読み始めた自分の「あ、幕末から平成、それぞれの時代を生きた6人の『リレー回顧録』的な趣向か?タイムリープ絡み?」なんて先入観を鼻で嗤うような(笑)嘘偽り無し、紛うことなき『東京』の『自叙伝』でした。仮に、「物語を語る『私』」=「虚構全般における、いわゆる『キャラクタ』と定義してみると、こんな『私』に出会ったのは初めてだ。
2021/11/22
kk
幕末から平成にかけての、世相と時代精神と熱狂の奔流。各時代を泳いできた者たちの生き方と声を借りて、東京の「地霊」がその移り変わりを謳います。東京という街と、そこに根付く者たちに寄せる、著者の深い愛情と執着と絶望、さらには、この街の未来に対する突き放した希望のようなものが見え隠れしているように感じました。やはり、奥泉先生は、天才です。
2021/05/31
みこと
もし東京に意思や人格というものがあったなら、そしてそれがただただ自分のことを語るならきっとコンナ風になるんだろうな。その時代その時代のあらゆる生き物の姿を借りて世間を観察しちっぽけな命や世界を俯瞰して見て語っているような物語だった。感情移入もできないしストーリーもそれほど面白いわけでもなかったけれどなぜか読むのをやめられなかった。するすると文章が繋がっていて、ちょっと違うけど講談か何かを聞いているような文章でかなり読みやすかった。これ、朗読向きかも。奥泉さん、本当に変幻自在な文章を書くなぁ。すごい人だ。
2022/04/22
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