砂の王宮 (集英社文庫)
砂の王宮 (集英社文庫) / 感想・レビュー
W-G
面白かった。一部と二部それぞれ楽しめるが、趣がかなり変わるので、どちらももう少し長尺にしてどっぷり浸からせて欲しかった。特に一部は、その後をもう少し読みたかった。もともとが闇市あがりの主人公なので、かなり脂っこい性格をしており、主婦の見方とかいうワードも、現代のユーザーファーストとは少しニュアンスが違う。誠実屋のステップアップのキッカケやヒントはほぼ深町の持ち込みで、塙社長はそれを嗅覚で選り分けて決断しているだけ。大きくなる人は実際こんな仕事の仕方なのかなと腑に落ちさせる力のあるモデル小説。
2020/02/27
小説を最初に書いた人にありがとう
楡作品の真骨頂的な作品な気がする。主人公の塙太吉が戦後に闇市からのし上がり、巨大スーパーマーケットチェーン総帥まで上り詰める大河的な話。モデルはDかIYかわからないけど着眼から拡大までをなぞっていくことは勉強にもなった。経済小説かと思いきや後半はミステリー要素もあり厚い本だが飽きることなく読みきれた。この作家さんは成功者の光と影を書くのが好きなのかな。
2018/05/17
ユザキ部長
不意に起きたつむじは小さなものだったが、帝国を象徴する王宮の塔のように見えた。が、それも一瞬のことで、砂は大気に溶け、塔は幻のように消え去った。俺には情熱ある熱き血が流れる。その言葉は無駄にしない。
2020/04/24
pdango
★★★★★戦後闇市から日本を代表する流通王へ(帯より)。勝つか負けるか、きれいなことばかりじゃない事も含めて、大企業を一代で築き上げる人の才覚やバイタリティーは、凡人とはかけ離れていて面白かった。
2018/07/01
Walhalla
モデルとなっている企業と人物はすぐに分かりますね。 かつて流通王と呼ばれた「ダイエー」の創業者の中内功さんの生き様に、フィクションを混ぜて描かれていました。 戦後の闇市から始まり、それまでにない流通システムを構築し、スーパーマーケットの展開で価格破壊を巻き起こしたカリスマですね。全てが順調という人生ではなかったかも知れませんが、価格の決定権は製造メーカーではなく消費者にあるという信念は、「主婦の店ダイエー」という店名にもよく表れていますね。これはとても面白いです。
2020/01/30
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