北の麦酒ザムライ 日本初に挑戦した薩摩藩士 (集英社文庫)
北の麦酒ザムライ 日本初に挑戦した薩摩藩士 (集英社文庫) / 感想・レビュー
おかむー
幕末から明治にかけて実在した北海道開拓使官吏・村橋久成の生涯を描いた歴史小説。『もうすこしです』。タイトルでも帯でも日本初のビールを作り上げた部分が強調されているので池井戸潤ばりのモノづくりにかける熱闘の物語と思いきや、むしろ肝心なところでキレそうでキレない(作中では「箍がはずれる」と表現)掴みどころのない村橋の人生が中心になるので終始淡々と史実が小説化されている感触。ビールづくり、上司との軋轢、ビール職人とのかけひき、北の地での哀しい恋など、味付けによっては面白くなる要素は充分あるだけに勿体ない。
2018/05/02
スプリント
ビール造りの話はサケのつまみ程度で、主人公の流転の人生にスポットが当てられています。
2018/06/30
好奇心
村橋久成、名門に生まれ、エリート?として留学、戊辰戦争へも指揮官として参戦、そしてビール造りの夢を抱いて北海道開拓史、目標も達成できた何が彼を変えてしまったのだろうか?彼にとってのキーワードの箍とは何だったのか、神戸での死は、ビールは今でも愛されている、もう少し彼のことを知ってみたい・・・
2018/05/09
nori
どことなく西郷隆盛に似て、欲がないのに担がれてしまったような久成。それでも自分の思いや仕事は全うし、嫌がらせがあっても逆らうこともなく、自分の役割が終ったと身を引く潔さ。そして最期の時もひっそりと幕を引く。生まれた土地とまだ行ったことのない鹿児島に思いを馳せた小説。
2021/02/16
やむやむ
史実に沿ってだと思うが、フィクションの小説のように感じるほど、登場人物の性格付けやエピソードなど、実に上手く肉付けされていて、時代の雰囲気を感じながら面白く読めた。 娼婦の由紀はおそらく想像上の人物なのではないかと思うが、あのように幕末~明治に時流に乗り損ねた侍の妻は多かったのだろう。村橋久成が常に意識していた「箍(たが)」が由紀に対して外すことが出来ていれば小説の中だけでも少しは久成のその後も変わっていたのだろうか。ドラマにして欲しい作品が一つ増えた。
2020/09/05
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