りさ子のガチ恋・俳優沼 (集英社文庫)
りさ子のガチ恋・俳優沼 (集英社文庫) / 感想・レビュー
Aya Murakami
フユイチ2018年の集大成対象本。 沼というワードはツイッターで耳にしましたが、ガチ恋は初耳です。俳優や女優が結婚したら怒り狂うアレですね。 りさ子は「自分では無から有を生み出す才能はない」と自覚しつつ無機質な職場生活を送りつつオタク生活をエンジョイしているようです。そして彼女が愛する俳優も「自分が売れているのは顔やキャラクター性であって演技力等中身ではない」と自覚していて…。 自分もオタクっ気があるのでりさ子がいつの間にか危険な狂信者になっていく姿に恐怖を感じました…。
2019/01/03
ami*15
「推し」のためならどんなことでもしたい。仕事よりも俳優の翔太君のことで毎日頭の中が一杯なりさ子。彼女の翔太君に対する行動力は「凄い」どころではなく「ヤバくて怖い」。ファンから見た「芸能人」と芸能人から見た「ファン」、それぞれの姿がバランス良く描かれていて、芸能界に蔓延る光と闇や予想以上に燃えていた推しへの愛を沢山覗き見しました。ファンにとって推しは神様のような存在。だけど普通に恋愛をする姿や人間の好き嫌いがある姿を見ているとどんなに素敵な芸能人だってやっぱり1人の人間なんだなぁ…と思いました。
2019/03/27
Zann
★★★★☆キャッチーなタイトル、ポップな装丁に騙される事なかれ。これはホラーだ。2.5次元俳優(イメージ的には地下アイドルの様な存在か?)という、近いような遠いような存在にズブズブとのめり込んだ果ての地獄。読み手の私自身はハマりやすく飽きやすい体質のため、主人公の様にガッツリハマれる人を微笑ましく羨ましく読んでいた。『好き』を『愛(金)で推す』というのにもちょっと憧れる。いや、しかし、これはいかーん!!怖い怖い!!一生懸命ってのも振り幅間違えると恐怖だなぁ。共感はできなかったが面白く読めた。(9)
2022/01/22
kei302
ネット炎上、暴走するファンの恐ろしさ。そして、誰も、炎上の後片付けはしない。ゴミだけがずっと残る。遅れてやってきた人たちは、その散らかったゴミだけを見て一方的に嫌悪する。炎上ってのは燃え殻になった後の方が地獄。飽きられてからも地獄は続く。りさ子は確かに、妄想が暴走しているが、現実に存在するのだ。怖い。
2020/03/17
ゆなほし
26歳彼氏なし・OLりさ子が応援している2.5次元舞台俳優の翔太君に、ネット上で彼女疑惑が持ち上がり…。初めはただ客席から姿を見られるだけで良い。プレゼントを渡すだけで良い。そこから次第に芽生える承認欲求と、推すだけでは足りない溢れる愛のもたらす結末は、背筋も凍る愛憎劇。出待ちに全通、カラオケ観劇会、愚痴垢…あまりにもリアルな界隈描写に、ノンフィクションとは思えずスリリングな展開と相まって一気読み。「愛で人を推す」事に付きまとう俳優とファン双方の責任を、鮮烈な視点で掘り下げる傑作沼小説。
2020/11/19
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