短編伝説 別れる理由 (集英社文庫)
短編伝説 別れる理由 (集英社文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
短編伝説の4冊目で最新版は副題に「別れる理由」と書いているように、別れが主題となっています。13人の手練れがそれぞれ楽しませてくれます。私は結構再読が多いのですが(浅田次郎、高橋克彦、野坂昭如、山本周五郎など)、何度読んでも心にしみてきます。とくに浅田さんのは(角筈にて)いつもほろりとさせてくれます。いい本です。
2018/09/06
キンモクセイ
たくさんの出会いがあれば、それと同じくらいたくさんのさよならがある。〝青いオウムと痩せた男の子〟昭和20年8月15日、オウムと男の子は防空壕の中にいた。ずっと待っていた。〝さびしい〟ふたりは別れを決意した。男からの電話で声を聞いただけで辛くなる。わかっているけど、さびしい。〝花嫁〟方代の故郷は鬼の伝説が多いと話したら本気で怒ってたな。それから方代が消えた。〝角筈にて〟いるはずがないのに、父の姿を探した。白いパナマに麻の背広。「おとうさん、ぼく誰にも負けなかったよ」リオに飛ばされても、それも悪くないかな。
2021/04/28
そーいち
集英社編の短編小説集を読む。テーマは別れる。別れるといっても様々でシンプルな離婚ものや親子の別れだけでなく、ちょっとした中断での別れやホラーテイストでのおどろおどろしい別れまで千差万別。挙げられている作家の方々は流石の人選でどれをとっても面白い。個人的には氷室冴子さんのエッセイ風小説が楽しい。長電話の女性の内幕を描いている(今では考えられない)また小池真理子さんの「さみしい」はシンプルな別れ話ながら余韻が素晴らしい。浅田次郎。赤川次郎コンビもそれぞれが持ち味を出していて十分な読み心地だった。
2022/10/05
ろこぽん
別れにもいろいろ。「離婚案内申し上げます」は最後にほろりとなりました。こんな風な仕返しなら旦那さんもうれしいのではないかな。 篠田節子さんの「内助」もおもしろい。「その木戸を通って」は読了してもずっと残る話。何があったのかめちゃくちゃな気になる。 青森の奥にはイタコ伝説とか、マタギ伝説とか不思議な話がたくさんあるので「花嫁」みたいな話も本当にありそう。終始どきどきしました。
2024/01/28
ケニオミ
別れをテーマとした短編集です。別れと言っても、男女間だけの別れではありません。いろいろな意見はあるとは思いますが、僕にとって突出して出来がいいと思えたのは、浅田次郎の「角筈にて」でした。自分を捨てた父を思い、こだわり続ける中年男の話でした。この話を読めただけでも得をした気分になりました。
2018/11/07
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