あのこは貴族 (集英社文庫)
あのこは貴族 (集英社文庫) / 感想・レビュー
エドワード
私も京都から東京の大学へ入った口で、新入生の頃のアウェイ感に大いに共感する。東京生まれ、東京の高校卒の連中はすでに仲間だった。それが華子の言う「東京の真ん中にある、狭い狭い世界。ひっそりしていたが、そこに属している信頼と安心感は絶大だった。」社会階層だ。翻って<外部=地方出身者>の美紀の言う「同じ土地に人が棲みつくことで生まれる、どうしようもない閉塞感と、まったりした居心地のよさ」が奇妙に符合する。東京が地元であるハイクラス。それは貴族。年中行事と作法に縛られる。でも、貴族でない私たちには自由がある。
2019/06/11
Aya Murakami
ナツイチ2019 地元から遠くの大学に通うために一人暮らしをした経験から、ある地方都市と女子の運命がなかなかに心に響きました。除籍…ではないですが、就活時期とリーマンショックが重なって卒業後の人生計画がうまくいかなかった経験が妙に主人公とリンクして…。 恐らく女性同士でいがみ合わせて、自分の思うようにならない女性に「幸せになるな」というような作中の男性にはこのような人生の苦しみは絶対に理解できないのかもしれませんが。
2020/04/01
あきぽん
見合いを重ねる深窓の令嬢と、上京後風俗で生計をたてる娘。同じ東京のアラサーでも住む世界の違う2人を結びつけたものは…?金持ちvs貧乏の話はよくあるけど、これはアナ雪のように全ての立場の女性への暖かなエールになっています。
2021/06/27
aoringo
代々続く医者の娘で家は松濤、有名私立学校出身の本物のお嬢様である華子。周りがどんどん結婚していき焦っている中で、結婚相手としてこれ以上ない男性と出会い幸せの最高潮にいるはずが...無菌室育ちで世間知らずの華子だけど、これがなかなか良い子だった。狭い世界の中で生きていて、自分と同じ階級の人としかやっていけないのだろうと思いきや、人としての成長も見せてくれる。良い予感を感じさせるラストも良かった。人はいつからでも始めることが出来るんだと教えてもらえた。
2024/07/19
よしのひ
大好きな女優が映画版に出演すると知り読了。1人の男をめぐって女性2人が描かれるパターンはよく見かけるが、相楽の行動は初めての体験だった。なるほど、話の持っていく方向でそっちもあるのかと。教養があって頭がよくないとできなかったことだと思う。また、東京は東京でも華子たちの東京と私の東京は違う世界にあるようだ。話の始まり方と終わり方に品があって好印象な作品だっただけに、2月公開の映画が非常に気になってくる。映像だとまた違った印象を抱くのか。楽しみだ。
2020/10/18
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