ココ・マッカリーナの机 (集英社文庫)
ココ・マッカリーナの机 (集英社文庫) / 感想・レビュー
美登利
中島さんの作品は直木賞の小さいおうちが初めてでした。それまで全く知らない作家さんでしたが、現代の話では無いのに非常に読みやすく面白かったので、それからしばらく色々読みあさりました。中島さんが雑誌編集者の職を捨てて、アメリカへ教師の真似事のようなインターンシップで過ごした日々の事が書かれたエッセイです。その時既に何か自分で書きたいと思っておられたようです。幼稚園生から中学生まで日本の文化を教える実習の中、英語が得意でないとは言え生徒たちとの交流がとても楽しそうで、興奮と驚きに満ち溢れている文章でした。
2016/01/18
なゆ
中島さんは作家になる以前、アメリカで教育実習生として子供達に日本文化を紹介していたそうで。〝ココ・マッカリーナ〟とは、〝キョウコ・ナカジマ〟のこと。うまく発音できない小さな子供たちのためのあだ名というのが微笑ましい。学校での授業の様子も、ホストファミリーとの生活も、出会った人々みんなイキイキとしてて楽しい。トヨザキ社長の解説では、スティーブさんの話が挙がってたが、私は「ネイビー」の彼の勢いにうひゃひゃとなった。小さな友達に誘われた海辺のバケーションで、心が子供に戻って泣きそうになる話も凄く好き。
2016/08/16
ぶんこ
雑誌編集者で心身ともにすり減っていた頃、原宿の手相見からのアドバイスで、シアトルの小さな町のインターンシップでの先生に転身。そこが3歳から14歳までの生徒がいる私立校だったのが素晴らしい。3歳の子なんて、可愛い盛りです。「中島京子」が言えなくて「ココ・マッカリーナ」になった。生徒との交流がイキイキとしていて、読んでいてドンドン引き込まれます。「やってみなくちゃ分からない」精神で、学校側が柔軟に対応しているところは、さすがアメリカ。ひと旗あげる、あげさせる精神が残っていて、アメリカはまだ大丈夫と思わせます。
2016/10/14
taku
インターンシップ先の学校だからなのか、案外お行儀の良い生徒たちのようだ。教育者というのは子供の「瞬間」に多く立ち会うだろうね。実習や生活を通した人々との交流を、こちらにも疑似体験させてくれるような伝わる文章を書く人だ。″この体験記を、どこかで「人生変えなきゃ」と思っている、悩める友人に贈る。″と書いているように、彼女の選択は行き詰まりを感じている人に前向きな力を与えられるかもしれないね。楽しめるエッセイでした。
2018/01/07
ゆーかり
『小さいおうち』の著者が作家になる前、いきなり仕事を辞め、日本文化を紹介する教師交換プログラムでアメリカへ。仕事に追われた毎日だったのが、この留学で彼女の人生は変わった。『だいじなことはみんなアメリカの小学校に教わった』の改題・加筆したもの(その題名だとアメリカ万歳な本かと思いそう)。三歳児から中二までを相手の様々な出来事などアメリカでの体験記。この手のエッセイ、昔は山ほど読んだな~。「つあ!」「アイ・ガーリ!」「アイ・ドンゲリ」面白いね。カルチャーとは他の国の人々のことを理解すること、ね。
2011/06/06
感想・レビューをもっと見る