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ジゴロ (集英社文庫)

ジゴロ (集英社文庫)

ジゴロ (集英社文庫)

作家
中山可穂
出版社
集英社
発売日
2006-05-19
ISBN
9784087460414
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ジゴロ (集英社文庫) / 感想・レビュー

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エンブレムT

中山作品の、読んでいるうちに周りの空気が薄くなっていくような息苦しさが好きです。・・・カイの心の中には常に一人の女性がいて、だからこそ彼女は何人もの他の女性と誠実に夜を過ごすことが出来る。最愛のひとを最愛の状態で愛し続けるために必要な、手段としてのジゴロ。カイの中を通り過ぎていく女性の目を通して見えてくる、ズルい部分をも許し甘やかしたくなるような独特の魅力の描写は「他の作家には求めても叶えられないよなぁ」と、読みながらしみじみ思いました。雨の中に閉じ込められたような、静かで湿度の高い文章に酔いました。

2013/04/08

なる

『マラケシュ心中』以来、心を落ち着かせる長期休暇のある時に読もうと思っていた中山可穂の作品、けれど本作はヒリヒリするほどの痛みはなく、割と楽しみながら読める(本人もそんな感じで書いたとの言)。ストリートミュージシャンのカイが出逢い、関係する人たちを中心に描かれる五つの連作短編。性愛がまだ不安定な高校生の心情を丁寧に描いた『ダブツ』とトランスジェンダーの歌手の人生を切り取った『恋路すすむ』が好み。ライトではあるけれど、どの作品も特有の鋭い言葉が飛び交っているので油断していると怪我をする。

2021/05/05

あんこ

寂しさで繋がる彼女たちの関係に思わず恋焦がれてしまいそうになる。それでも、重くならずに読めたのは、きっとジゴロである寂しがり屋のカイのたった一人の恋人メグの明るさでしょうか。町をさすらって孤独を唄うカイを読者であるわたしも好きになりそうになる。たった一人の女を愛するために百人と寝ることもあるーそういう愛し方もいいのかもしれない。もしこれが男女の恋愛ものだったらわたしは嫌気がさしていたにちがいないけど、いつまでも『彼女たち』の物語だから切なくて甘いのだと思いました。

2014/04/02

わんこのしっぽ

読友さんに勧めらた中山可穂さん初読みです。喉が渇いてくる。追いかけても追いかけても掴むことさえできない。女達の愛情を踏み台にしてまた求め続けていく。終わる事のない渇望。いっそ力尽くで征服できるものなら・・・。優しさと寂しさが混じり合うと渇望と言う感情が生まれるのか。丁寧に描かれている情景は砂漠の中に現れた陽炎のように儚い夢。中山さんの世界は後を引く感じですね。

2014/03/18

そばかす♪

既読だと思っていたけど未読でした。主要人物のふたりメグとカイの繋がり方が良くわからなかった。だから「ただひとりの女を愛し続けるために百人の女と寝ることもある」その理由がピンと来ない。そもそもメグはカイの行動を把握してるのか?メグの週末や残業についてカイが語った行動は事実なのか、疑問がいっぱい(サスペンスの読み過ぎ?w)。誰の気持ちも理解出来ないけれど、寂しい人がたくさん出て来て、誰かと繋がろうとする、そんな危うい心のふれあいの話。

2015/03/12

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