リトル ターン (集英社文庫)
リトル ターン (集英社文庫) / 感想・レビュー
miri
前触れなく飛べなくなったコアジサシの姿は、せわしない現代社会の網の目からぽとりとこぼれ落ちてしまったかつての自分を思い起こさせ、力が抜ける思いだった。詩情溢れる寓話の朴訥とした語りが続き、鳥の本質を全うしている時には出会うべくもなかった蟹、星、薔薇に触れ、モノトーンの世界から美しいものを見つけ出す。隠れているものを見い出す力、人とは比べない力、焦らずに休む力、常に走り続けることはできず、休むことで見つかることもあると思わせてくれるいい物語でした。
2020/03/10
hirune
飛ぶことがほぼ生きることと同義のリトルターン(コアジサシ)が突然訳もわからず飛ぶことが出来なくなった。そして彼は飛ぶことなく浜辺で生きていく中で、周りの世界のこと、生きている他の動物や植物のこと、自分のことも見つめ感じ考えて発見していく。ゴーストクラブと時間をかけて心を通わすけれど、べったりと仲良くなるというわけでもなく、互いに自分らしく生きながら互いに少しだけ相手のことを心にかけている、そんな友情がいいですね☆
2020/09/20
はらぺこ
裏表紙に「21世紀の「ジョナサン」なのか!?」って書いてるけど自分が今まで読んだ中では「かもめのジョナサン」より「カラフル」に近かった気がする。でも、こういう作品は読むたびに感じ方が変わるんやろなぁ。
2011/11/24
(C17H26O4)
本の整理をしていたら出てきた。絵がね、素敵なの。色も。けど多分、訳が好みじゃない。(と以前も思ったんだった。)突然飛べなくなったコアジサシが自分の内面を見つめ、他の世界とも触れ合い、自分を一度手放すことで、気づき、立て直し、再び空へ…というような話なんだけど、訳(訳者)が格好つけてるような感じがしてしまい、入れない。
2021/09/11
Te Quitor
挿絵と抽象的表現の多い大人の絵本。ある日突然飛べなくなってしまったリトルターン(コアジサシ)。どうしたら飛べるようになるのだろう。悩む日々。空からではなく、地に足をつけて考えていく。見つめ直す。思考する。そんな時間は無駄だと感じるかもしれない。でもその「無駄な時間」が大切なんだ。・・・という作者のメッセージを自分は感じた。しかし、どのようにも解釈できる物語だろう。自分勝手に解釈して構わないと思うよ。飛べなくて悩んだ時、またページを開きたい。
2014/04/30
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