作家の生きかた (集英社文庫)
作家の生きかた (集英社文庫) / 感想・レビュー
さっと
『きまぐれ歴史散歩』でドイツ文学者の肩書きからは想像できない池内さんの筆致にふれて以来、読もう読もうと思って早10年。さて、本書は著者の思い入れ深い作家をとりあげたもので、太宰治(心中)、堀辰雄(病気)、林芙美子(貧乏)、与謝野晶子(子沢山)などよく知られた方々がある一方、州之内徹(気まぐれ/寄り道ばかりの名エッセイ「気まぐれ美術館」)や正岡容(偏屈/自身に課した根気のいる仕事が生んだ『明治東京風俗語事典』)の個性派まで幅広い。個人的には坂口安吾の退屈、井伏鱒二の借用、小川未明の反復がおもしろかった。
2024/07/21
Yukiho Akechi
ドイツ文学の翻訳者として有名な池内紀さんによる作家論。取り上げられている作家は、内田百閒、芥川龍之介、柴田錬三郎、田中小実昌などと幅広い。作家それぞれに「借金」とか「貧乏」とかろくでもないタイトルが付いているのだが、池内さんの纏め方がうますぎて、「確かにそのタイトルじゃないとしっくりこないよなぁ」と何度も思った。個人的には、10日酔い経験者かつ少量で酔えるよう修行したほどの酒豪·吉田健一氏がとても気になったので、エッセイ読んでみたい。 そうそう、与謝野晶子の子どもの名前は三度見しちゃった。仕方なし。
2017/07/21
fumi
20人の作家をそれぞれ彩る20のキーワードを足がかりに、彼らの作品や生涯をひもといた一冊。百鬼園、吉田健一、林芙美子など好きな作家が多く取り上げられていたのがきっかけだが、カルト的人気ゆえに手を出しづらかった洲之内徹や植草甚一などの魅力が素直に伝わったのが大きな収穫だった。結びに配された、田中小実昌への愛惜しみない文章に泣けて、コミさんがやっぱり好きだという気持ちを再確認。
2017/03/19
かりかり
☆☆☆
2020/02/08
poefan
「名人さがし」から「生きかた名人 楽しい読書術」経て「作家の生きかた」に。20人中はじめの8人までは力作。9人目からずいぶんのびやかな筆致に変身。登場文人20人。見事なショート伝記。
2013/01/14
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