アッシュベイビー (集英社文庫)
アッシュベイビー (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
芥川賞作『蛇にピアス』に続いて書かれた長編。題材にも表現にも前作ほどのインパクトはない。おそらくはそれを期待されていただろうが。3文字の卑語(注―共通語の4文字からオをとったもの)が連発され、キャバクラ嬢である主人公のレナ(=アヤ)は性的にきわめて放縦な生活を送っている。「誰でもいいから誰か私を誰か愛してよ」との内的叫びは悲痛だが、それが誰かに届くことはない。報われない愛を渇望する彼女の「村野に殺されたい」という願望は、いわば究極のマゾヒズムの姿でもある。しかも、それはタナトスと隣り合わせのエロスなのだ。
2014/09/15
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️⭐️金原さんはまだ2冊目。若くていきのいいお話しでした。村上龍さんや山田詠美さんの若い時を彷彿とさせましたが、思ったより読後感が良いのは前回同様で著者の特性の様です。巻末の解説でこの後の2冊で更に飛躍的に成長するブレークスルーがあるそうなので、まだしばらく継続的にお付き合いしてみます。
2016/10/18
ゆいまある
キャバ嬢と、小児性愛者のルームメイト。最初から最後まで酒に逃げた状態で語られる。ルームメイトは赤ん坊を軟禁し、レイプを試みる。作者の分身はアル中のキャバ嬢アヤであり、段ボールに入れられた名もなき赤ん坊である。産まれてから今日まで、優しい言葉もかけられず、感情は無視された。アヤに機械的に与えられる酒は母乳である。男に抱かれているときは生きている実感が湧くが、必要とされているのは身体であり心じゃない。赤ん坊ですら他の物で代替可能。想い人に焦がれているのが母を求めているようで。思弁垂れ流しが町田康のよう。
2022/01/18
青蓮
再読です。とても病んでる内容ですが、たまに読み返したくなります。今改めて読んでみると、金原さんの作家としての成長ぶりがよく解ります。本作はギスギスしてて読んでて苦しいけど、でもこの歪んだ世界にどうしようもなく惹き付けられます。人の暗部を抉り出して、叩き付けるような描写はさすがです。全てには共感できないけれど、この作品が好きなのは私自身にも歪に病んでる部分があるからだと思います。読み手を選ぶ作品だと思いますが、一読する価値はあると思います。衝撃的な体験をしたい方におすすめです。
2016/01/25
もぐたん
サクサクいけるけど、飽きてくるジャンクフード的な作品。あまりにあけすけで笑えてくるし、軽過ぎるし、キモ過ぎて好みではなかった。でも、私はまた金原作品を読むのだろう。★★☆☆☆
2022/08/16
感想・レビューをもっと見る