負けるのは美しく (集英社文庫)
負けるのは美しく (集英社文庫) / 感想・レビュー
ふじさん
東宝映画のニューフェイス試験の合格の顛末から始まり、黒澤明に立ってついた新人の頃、数々の名優との思い出、運命の出会いと結婚、36歳で最愛の娘の死。彼の、穏やかなに、優しく、記憶を確かめながら半生を語った読む人の心を静かに語り懸ける感動のエッセイ集。さすが、読書家で、名文を書く児玉清の作品。多くのエピソードに児玉清の人間性や生き方が出てきて面白く読むことが出来た。
2021/08/20
takaC
胃癌で逝去された娘の奈央子さんとの別れは多大にショックであっただろう。
2016/04/20
あつひめ
児玉さんが淡々と自分のことを語る。そんな場面を見ているような気がした。俳優になりたいという決意があっての始まりじゃないところに運命を感じる。人にはたくさんの選択肢があるはず。何かに導かれるように気持ちは行きつ戻りつしながらそこにたどり着くのは宿命としか言いようがないのかもしれない。俳優と言う職業がいったいどれだけの人数が居るかはわからないが、そのてっぺんに近いところにたどり着くのは光るものを見出してもらえる「運」を持っていたのだろう。娘さんの死というものがまた児玉さんの中で別の光になっていたかもしれない。
2013/01/21
扉のこちら側
初読。意外な反骨精神と、それをさらっとした語り口でなんでもないことのように話す(書くというより、話すの方が合っている)おもしろさ。
2013/05/11
有
児玉氏だって同じ人間で、文句も言うし浮かれもする。真面目で努力家な方だと勝手に印象付けていた。文章は堅く感じるのだけれど、その堅さと内容のギャップが想定外で、目が離せない。型にはまらず、長いものに巻かれず、奥の深い人を感じ取る。自分のことを客観的に見ているからこそ、児玉氏の話は面白い。映画俳優時代の挑戦的な顔。失敗したときのお茶目な顔。人を見る無垢な目。信念を決して曲げない頑固さ。娘さんへ対する愛。どの面もすべて児玉氏で、彼の話に一切の嘘がないことがよくわかる。悲しいけれど、忘れない。この本、児玉氏を。
2012/03/16
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